日本人の青少年の海外旅行の現状についての講義を，国立国会図書館調査及び立法考査局の職員を対象に行った．はじめに，日本人の海外旅行者の現状，若者の海外旅行の現状について，政府統計とそれを加工した資料を引用しながら，説明を行った．また，日常的に使われている「若者の海外旅行離れ」についての概念規定を行った．その上で，1980年代中盤以降から現在までの日本政府のアウトバウンド政策，特に青少年海外旅行促進策について，6つの期にわけてその狙いと概要，実績と評価についての分析を説明した．最後に，若者の海外旅行に関する研究の概要として，報告者と共同研究者がこれまでに実施してきた研究として，旅行履歴の分析，阻害要因の分析，海外旅行の実施頻度に関する動態的循環モデル（自己効力感の影響）についてポイントを取り上げるとともに，最近実施したCOVID-19の海外旅行の意思決定への影響に関する調査結果の速報を紹介した．