論文

筆頭著者 本文へのリンクあり
2019年6月

若者の海外旅行の実態と意識に関する時系列比較2:2016年調査と2019年調査の比較

玉川大学観光学部紀要
  • 中村 哲

6
開始ページ
1
終了ページ
28
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(大学,研究機関等紀要)
DOI
10.15045/00000398

2017 年頃から,政府や産業界による若者を対象としたアウトバウンド推進の取り組みが動き出している。また,若年層の日本人の海外出国状況を見ると,「若者の海外旅行離れ」が指摘されていた2000 年代後半の低迷状況を脱しつつあり,20 歳台前半の女性を中心に出国者の実数も伸びているほか,出国率は過去最高に近い水準に近づいている。ここで,「若者の出国率は上昇しているが,これは一部の海外旅行者が何度も渡航した影響なのか,それとも多くの若者が旅行をするようになったのか」という問いが出てくる。 そこで本研究では,上記の問いへの解答に近づくべく,筆者の属する研究グループが独自に2016 年と2019 年に実施した日本人若者を対象とした調査データ用いて検証を行う。具体的には,①海外旅行の実施状況が変化しているのか,②海外旅行に対する意識に変化が見られるのか,の2点について明らかにすることを目的とする。 分析の結果,実施状況を見ると,ここ数年の20 歳台前半の伸びについては,女性は限られた層の人が何度も出国している影響が強い一方で,男性については海外出国した人が広がった効果によると考えられる。20 歳台後半の男女は,出国する人の幅が広がったことを主たる要因として,複数回渡航する人の存在も合わさって出国率が伸びている。 海外旅行に対する意識については,全体的に「意向」「関心」「自己効力感」「動機付け」については上昇,「阻害要因」については低下の傾向が見られるが,一部を除いて有意差は認められず,海外旅行に対する意識が上向きになっているとは言えないことが示された。なお,18 ~ 24 歳の多くを占める「女性学生」については,もともと海外旅行に対する知覚は他よりもポジティブであり,「阻害要因」を知覚してもそれを乗り越えて海外旅行に参加している可能性が高いことも示唆された。 最後に,量的調査による限界と,海外体験・海外旅行の内容の質を精査していく必要性について指摘した。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.15045/00000398
URL
http://hdl.handle.net/11078/1410 本文へのリンクあり
ID情報
  • DOI : 10.15045/00000398
  • ISSN : 2188-3564

エクスポート
BibTeX RIS