共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2007年

ショウジョウバエ視覚中枢の形成に必須の因子の網羅的探索と機能解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
05J12035
体系的課題番号
JP05J12035
配分額
(総額)
2,700,000円
(直接経費)
2,700,000円

本研究では、ショウジョウバエ視覚中枢の形成、特にラミナ神経細胞とメダラ神経細胞の形成に着目して研究を進めてきた。ショウジョウバエ幼虫期の視覚系の発生においては、神経幹細胞の分化は時空間的制御の中で連続的に起こる。視覚中枢のOuter Optic Anlage(OOA)を構成するNE細胞は、medial側からメダラ神経幹細胞へと分化し、lateral側からラミナ神経細胞へと分化する。所属研究室で行われた解析から、proneural遣伝子の一つであるlethal of scute(1(1)sc)がNE細胞からメダラ神経細胞を産み出す神経幹細胞への分化のタイミングを制御することが明らかとなった。L(1)scの発現は一過的であり、OOAのNE細胞をmedial側からlateral側に、同期し、整列した状態で進むproneural waveとして進行する。L(1)scはメダラ神経幹細胞の誘導に十分であり、かつ神経幹細胞分化の開始のタイミングの制御に必須である。
本研究では、JAK/STATシグナルの視覚中枢形成における役割に着目した。細胞外リガンドUpdがlateral側のNE細胞で発現し、JAK/STATシグナルはNE細胞において活性化されることを示した。さらに、過剰発現および機能欠失実験の結果から、JAK/STATシグナルがproneural waveの進行を負に制御することを示した。さらに、JAK/STATシグナルはNE細胞からメダラ神経幹細胞への分化のタイミングを制御することで、ラミナ神経細胞とメダラ神経細胞の産生のバランスを調節していることが明らかとなった。本研究は、神経前駆細胞の形成に関して従来の知見とは異なる全く新しいメカニズムをみいだしたものであり、神経発生研究に重要な知見を示した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-05J12035
ID情報
  • 課題番号 : 05J12035
  • 体系的課題番号 : JP05J12035