2013年 - 2015年
自然な映像を用いた感情の神経基盤に関する研究
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 基盤研究(C)
- 課題番号
- 25350993
- 体系的課題番号
- JP25350993
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
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- (総額)
- 4,810,000円
- (直接経費)
- 3,700,000円
- (間接経費)
- 1,110,000円
- 資金種別
- 競争的資金
本研究では日常的にしばしば遭遇する、自然な映像刺激で感情価の高いものを選んで被験者に呈示した。それにより日常生活に近い自然な感情が惹起された状況を作り、機能的磁気共鳴画像(fMRI)による脳賦活検査を行った。また感情生成の前後で安静時スキャンを行い、感情がDefault Mode Network(DMN)の活動に変化を与えるかどうかを調べた。今年度は、主に楽しさや笑いの感情を対象とした実験を行っている。コメディ映画を約8分間見ている間にfMRIを撮像し、被験者の面白さの評定に合わせて脳活動が変化する領域を同定した。21名の健常被験者のグループ解析では、被験者の面白さの評定が上昇するにつれて内側前頭前野と扁桃体の活動が上昇することが分かった。また同じ映画を見ている時の視線の位置を計測したところ、視線が画面の人物の顔や胴体にある場合に面白さが強くなっていることが分かった。さらに、別被験者20名を用いて対照実験を行った。ここではモザイク処理を行った映画を示し、決められた反応ボタン(1~4)を押している時にfMRI実験を行った。この時の反応ボタンは、映画を見ていた被験者で最も多い反応を選んだ。その結果では、反応の種類と相関する脳領域は認められなかった。しかし実験群と対照群を比較すると、実験群で有意に活動が高い領域は内側前頭前野であった。これらの結果から、面白さの感情と最も関連する脳領域は内側前頭前野であると推測された。また感情生成前後で撮られた安静時fMRIの結果では、前後で脳領域間の機能的結合性が異なっている可能性が示された。例えば面白さの評定と関連した内側前頭前野の信号値と相関する領域は、感情惹起する前にはDMN領域に認められた。面白さの感情を惹起した後では、この領域間の結合が有意に低下していた。
- リンク情報
- ID情報
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- 課題番号 : 25350993
- 体系的課題番号 : JP25350993