がんの化学療法や放射線療法では口腔粘膜炎をはじめとする口腔内症状を引き起す場合が多く、頭頸部の手術では口腔管理を行うことで創部治癒の感染防ぎ入院期間の短縮に繋がることが報告された。このように周術期の口腔管理の重要性が認識され、2012年度より、がん治療や心臓血管手術を必要とした患者に対する周術期口腔機能管理が保険導入された。本報告では、東北大学病院での周術期口腔管理の受診動向を調査した。東北大学病院では、2015年4月に周術期口腔支援センターを設置し、周術期患者の歯科的対応窓口として機能している。開設から2年弱が経過した時点までの周術期口腔支援センター受診の初診患者を対象とし、初診時の紹介状の内容と周術期口腔管理に関する要望の動向を調査した。紹介元診療科としては、歯科口腔外科、心臓血管外科、移植・再建・内視鏡外科、耳鼻咽喉・頭頸部外科、血液・免疫科、循環器内科の順で多く、この傾向はこの2年間変わらなかった。全体では、放射線治療前、化学療法前、ビスホスフォネート(BP)製剤・抗RANKL抗体製剤の使用前の紹介が増加していた。周術期口腔支援センターへの患者紹介の動向の変化は、医科による歯科の重要性の認識の高まりによるものと考えられた。本センターの設置を通し、医科歯科連携をより強固に、そして多くの患者の助けとなることが考えられ、更に周術期口腔支援を推進する必要がある。(著者抄録)