本研究は、急性期病院で勤務する看護師の認知障害高齢者に対するパーソン・センタード・ケアを目指した看護実践とその関連要因について明らかにすることを目的とした。急性期病院に勤務する看護師348名を対象として質問紙調査を行い、248部を有効回答とした。急性期病院の認知障害高齢者のための看護実践自己評価尺度の得点を従属変数として分析を行った結果、看護師自律性測定尺度の下位尺度である【認知能力】および【実践能力】が、急性期病院の認知障害高齢者のための看護実践自己評価尺度の得点に有意な影響力を持つ変数として説明された。パーソン・センタード・ケアを目指した看護実践の質向上を図るためには経験年数を積み重ねるだけではなく、看護師としての自律性、特に認知能力や実践能力を養うことが重要である。認知障害高齢者の状況を的確に判断し、本人の価値観や生き方を尊重したケアを主体的に実行する看護師の力量が重要であることが示唆された。(著者抄録)