2019年12月
起源の同定に難渋した上大静脈中隔側起源心房細動の1例
心臓
- 巻
- 51
- 号
- Suppl.1
- 開始ページ
- 103
- 終了ページ
- 107
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (公財)日本心臓財団
症例は60歳代女性。20XX年、発作性心房細動に対しクライオアブレーションを実施した。1ヵ月後より心房細動の再発を認め、5ヵ月後に2nd sessionを実施した。1st sessionで行った肺静脈隔離は完成していた。その後、BeeAT多電極カテーテを上大静脈(SVC)、右房、冠状静脈洞にかけて留置し、リング状カテーテルを左房後壁、左房中隔へ留置した。イソプロテレノール負荷下に誘発を行ったところ、非肺静脈起源の心房細動が頻回に誘発されたが、いずれの箇所も明らかな早期性を認めず、心房細動起源の同定に難渋した。SVCにPENTARAYを挿入したところ、SVC中隔側に高電位を認め、同部位で早期性を示す心房細動が確認された。BeeAT上では洞調律時には低電位のSVC電位を認めていたが、心房細動開始時には捕捉されなかった。RA-SVC接合部における心筋スリーブの分布はまばらに散在していることが多く、特に中隔側が多いと報告されている。本症例はBeeATのみのマッピングでは側壁方向の接触しか得られず、SVC中隔側の電位を捕捉できずに、起源同定に難渋したと考えられた。SVCを全周性にマッピングしたことで初めて起源を同定し得たSVC起源心房細動の1例を経験したので報告する。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0586-4488
- eISSN : 2186-3016
- 医中誌Web ID : 2020138840