2019年3月
失神の原因疾患の診断に苦慮した1例
心電図
- 巻
- 39
- 号
- Suppl.2
- 開始ページ
- S
- 終了ページ
- 38
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本不整脈心電学会
症例は近医にて高血圧症、2型糖尿病、自己免疫性肝炎などを加療中の87歳女性。80歳頃から3ヵ月に1〜2回の頻度で、気分不快から始まる痙攣を伴わない失神発作が出現していた。2施設で失神の精査を行ったが、起立性低血圧と軽度大動脈弁狭窄症(軽度AS)のみであった。植込み型ループ式心電計(ILR)を勧められたが、患者の希望で慎重な経過観察となっていた。その後も失神を繰り返していたが、87歳時にASの進行が認められ、当院に紹介となった。経胸壁心エコーからASは高度であった。経過からも失神の原因はAS関連のみとは診断できなかったが、治療適応のある高度ASに対して経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を実施した。TAVI後、約4ヵ月は失神なく経過したが、前失神症状(ふらつき、脱力感)が出現し、再度当院に紹介された。精査したが有意な所見は認められず、患者に同意を得て、ILRを植込んだ。導入後、2ヵ月で失神発作を発症した。ILRにより、失神時に一致した発作性完全房室ブロックを認め、恒久性ペースメーカを植込み、失神発作は消失した。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0285-1660
- eISSN : 1884-2437
- 医中誌Web ID : 2019182703