共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

K中間子重水素原子のX線分光

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H01237
配分額
(総額)
17,420,000円
(直接経費)
13,400,000円
(間接経費)
4,020,000円

本研究ではJ-PARCハドロン実験施設でK中間子重水素原子のX線を世界初測定し、KbarN相互作用のアイソスピン依存性を理解することを目指している。
令和元年度は、まずおよそ半数のX線検出器(26ユニット)を低温高圧(30 K,3 atm)のガス標的システムに組み込み安定動作させ、J-PARCのK中間子ビームを用いたテスト実験を行った。標的は短期間でも比較的多くのX線収量を見込めるヘリウムガス及び水素ガスを用いた。まずK+ビームを用いてK中間子ビームの標的中静止数を最大化するビーム減速材の厚さを調節したうえで、K-ビームとヘリウム標的を用いて様々なビーム条件でのシグナルとバックグラウンド比を比較するデータを取得した。その後標的を水素ガスに変更しおよそ3日分のK中間子X線データを蓄積した。
データ取得後は解析コードの開発をすすめ、K中間子ヘリウムX線測定で従来を凌駕する低バックグランドスペクトルを取得することに成功した。一方で特に生成するK中間子原子数は当初予定より少ないことが判明した。そこでK中間子ビームラインおよびX線検出器周辺の両面において改善を加えることでK中間子重水素原子X線測定を実現すべく検討を進めた。特にガス標的容器の外の真空中に設置していたシリコンX線検出器をガス標的容器を大きくし標的ガス中に設置することがポイントと結論した。小型のテスト容器を製作し、低温高圧の水素及び重水素ガス中でもシリコンX線検出器が問題なく動作することに成功した。

ID情報
  • 課題番号 : 18H01237