2017年4月 - 2020年3月
進化論モデルを用いた単一起源細胞から子宮癌肉腫への発生機序解明と治療法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
今年度は、まず進化論モデルの有効性を検証するために、同一症例における正常子宮内膜・子宮内膜症・異型子宮内膜症・卵巣明細胞癌の連続的全エクソンシークエンスを施行した。遺伝子変異の頻度は、正常子宮内膜から子宮内膜症、異型内膜症、明細胞癌と進むにつれて減少していた。一方、遺伝子変異の変異アリル頻度は、正常子宮内膜から子宮内膜症、異型内膜症、明細胞癌と進展するにつれて増加していた。同定された遺伝子変異データを進化論モデルに当てはめることにより、正常子宮内膜では遺伝子変異が多様性を持って存在し、そのうち変異陽性内膜上皮が月経血逆流により腹腔内に移動後、卵巣に生着し、クローン性に増殖することで子宮内膜症を形成することが推察された。さらに、子宮内膜症上皮に癌関連遺伝子変異が蓄積していくことで、異型子宮内膜症、卵巣明細胞癌への進展することが推察され、ゲノムデータを利用した進化論的アプローチが発生起源の探索に有効であることが実証された。興味深いことに、進化論的アプローチにより、子宮内膜症から異型内膜症で留まる進化プロセスと、子宮内膜症から異型内膜症、卵巣明細胞癌へと進展する進化プロセスの2通りに進化が分かれることが明らかになった。
また子宮癌肉腫のスフェロイド樹立を進めるとともに、子宮体癌スフェロイドの生物学的特徴を明らかにするためにin vitro/vivoで実験を行った。特に癌幹細胞のマーカーと一つとされているALDH1に注目し、子宮体癌スフェロイドをALDH1高発現細胞と低発現細胞にソートすると、明らかに細胞増殖・薬剤感受性・代謝産物プロファイルに違いがあることを同定している。
また子宮癌肉腫のスフェロイド樹立を進めるとともに、子宮体癌スフェロイドの生物学的特徴を明らかにするためにin vitro/vivoで実験を行った。特に癌幹細胞のマーカーと一つとされているALDH1に注目し、子宮体癌スフェロイドをALDH1高発現細胞と低発現細胞にソートすると、明らかに細胞増殖・薬剤感受性・代謝産物プロファイルに違いがあることを同定している。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H04336
- 体系的課題番号 : JP17H04336