共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

どのようにガラスは壊れるのか?:原子レベル破壊と機械学習の応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K03771
体系的課題番号
JP19K03771
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

弾性変形下にあるガラスの破壊の起点を特定にするために,不規則構造をもつガラスと液体を対象としたシミュレーション研究を実施した.まず,はじめに着目した点は原子レベルの局所力学量であり,液体やガラス内部で局所圧力やせん弾応力,弾性率などが互いにどのような相関を持つのかについて検討を行った.そこで,計算機で作成したガラスに外力を印加し,得られた多変量の力学量変化に対して異常検知の手法を用い,その異常値として局所構造変化を特徴づけた.さらに,どの力学量変化が主に異常値に寄与しているのかを調べたが,特定の局所パラメタが寄与しているような強い相関を見出すことはできなかった.しかしながら,異常と判断された原子群は,空間的にクラスターを形成していることがわかった.また,弾性変形の量子効果を探索するために第一原理シミュレーションを用いたガラス変形を実施し,変形過程における電荷移動の効果を明らかにし,Physical Review Letters 誌に掲載された.
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また,液体における局所力学量とダイナミクスの関係性も不規則構造の励起に関わる重要な問題であり,局所圧力とせん弾応力の粘性緩和の間の強い相関を見出した.圧縮環境にある原子は,引っ張り環境にある原子よりもせん断に対して不安定になりやすく,緩和が促進されることがわかった.大きな圧縮環境にある原子は,同時に大きな局所ミーゼス応力状態にあることが要因の一つであると示唆される.本研究成果は,JOM誌に掲載された.
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これまでに局所力学量と局所粘性緩和の間に成り立つ相関を発見したが,その構造的起源の探索が今後の課題である.さらに局所粘性緩和の温度依存性はほとんどなく,ベータ緩和に相当する構造を観測していると考えられる.一方,巨視的な粘度が急激に増大することから,ここで得られた知見を局所構造相関から,中距離相関へ拡張していくこが今後の課題である.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K03771
ID情報
  • 課題番号 : 19K03771
  • 体系的課題番号 : JP19K03771

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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