2017年4月 - 2019年3月
窒化物半導体における欠陥構造のマルチスケール解析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
窒化物半導体・酸化物半導体薄膜では、残留する格子欠陥や歪みといった特異構造が電子・光学デバイスの結晶成長や物性発現において重要な役割を果たす。本研究では、窒化物極性材料GaN/InGaN量子井戸構造をはじめ、酸化物極性材料としてHfO2基及びZrO2基強誘電相のドメイン構造、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3・Pb(Zr,Ti)O3薄膜の組成相境界構造や非鉛系(K,Na)NbO3圧電体膜などの特異構造について、電子顕微鏡を活用してマルチスケールな観点から、特異構造の関与する微細組織形成機構を明らかにした。これまでの主要な成果として、以下の知見を明らかにした。 (1)GaN/InGaN量子井戸構造やGaN/サファイア基板界面におけるミスフィット転位、貫通転位、積層欠陥をマルチスケールで解析し、極性の違いによってこれら特異構造に大きな違いが生じることを見出した。(2)積層欠陥、量子井戸構造に伴う局所弾性場を介して貫通転位と弾性相互作用を引き起こし、転位の湾曲、消滅、発生の原因となることを見出した。(3)これら特異構造が酸化物の結晶成長に及ぼす効果を調べ、HfO2基及びZrO2基強誘電相のドメイン構造や電子状態の特異性、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3における組成相境界における特異な2相共存組織がミスフィット転位などに起因する局所弾性場によって誘起されることを組織学的観点から実証した。以上のように、窒化物や酸化物が内包する特異構造が結晶成長機構を通じて電子物性発現に大きな役割を果たすことを明らかにした。
- ID情報
-
- 課題番号 : 17H05327
- 体系的課題番号 : JP17H05327
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
1-
Applied Physics Express 13(7) 075504-075504 2020年7月1日 査読有り
講演・口頭発表等
8-
第68回応用物理学会春季学術講演会 2021年3月18日 応用物理学会
-
第68回応用物理学会春季学術講演会 2021年3月16日 応用物理学会
-
The 8th Asian Conference on Crystal Growthand Crystal Technology(CGCT-8) 2021年3月2日
-
The 8th Asian Conference on Crystal Growthand Crystal Technology(CGCT-8) 2021年3月1日
-
Virtual Workshop on Materials Science and Advanced Electronics Created by Singularity 2021年2月3日 科学研究費補助金新学術領域研究「特異構造の結晶科学」 招待有り
-
応用物理学会 結晶工学分科会・電子材料若手交流会(ISYSE) 主宰 第3回結晶工学×ISYSE合同研究会 2020年12月23日
-
第 81回応用物理学会秋季学術講演会 2020年9月9日
-
日本セラミックス協会2020年年会 2020年3月20日
Works(作品等)
2-
2020年3月17日 - 現在 その他
-
2018年9月4日 - 現在 その他