3Dプリント技術の外科的歯内治療マネージメントを活用した2例を経験した。症例1は48歳男性で、上顎右側中・側切歯部の歯根嚢胞の治療で受診した。上顎右側中切歯(#11)ならびに側切歯(#12)部の歯根嚢胞の臨床診断を受けた。施術前に3Dモデルで三次元的な骨欠損域、近接する切歯管などの周囲構造物、汚染が想定される歯根面の範囲などの確認を行ったうえで、#11、#12部の嚢胞摘出術ならびに歯根端切除術を実施した。術後6ヵ月迄のリコールにおいて不快症状の再発はなく、X線画像的にも施術部の骨創腔範囲の縮小傾向がみられ、良好な治癒経過を示した。Radicular cystとの確定診断が得られた。症例2は37歳女性で、上顎右側第一大臼歯(#16)の難治性根尖性歯周炎の治療で受診した。3Dモデルの頬側面観から#16の根分岐部の骨欠損を認めた。3Dモデルによって歯根分岐部や大臼歯部の歯根根尖と上顎洞との関係、患部の骨欠損状況について患者の理解が容易であった。根管充填実施後、髄室ならびに歯冠部開拡窩洞をコッポジットレジンで充填し、#16のMB根の歯根切除術を実施した。抜糸後、術後6ヵ月迄のリコールの間に臨床約不快症状の発現はなく、X線画像でも骨欠損修復像が確認でき、術後経過は良好であった。