2020年4月 - 2023年3月
戦後日本の民間教育運動の社会史―教育実践をめぐる教師の協働性に着目して―
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本年度は、主として民間研運動史グループによる研究を先行し、戦後の中核的な民間研運動の個別史を中心に研究を進めた。
(1)科学教育研究協議会については、戦時下の「生活の科学化」論議がどのように整理され戦後の理科教育の構想につながったのか、とりわけ「科学的精神」に着目することで戦前・戦後のねじれが見えてくると考えている。特に、科学教育研究会の中心人物である菅井準一と玉田泰太郎に着目する。(2)全国生活指導研究協議会については、その運動を支えた理論形成においてどのような参照言説の変化があったのかに着目し、さらにその運動を引き受けた教師の実践の成立しやすさ/しにくさの背景を検討することで、運動史が照らし出す教育課題の変化について明らかにする。(3)到達度評価研究会については、先行研究の蓄積がない対象であるが、学力保障と住民自治を正面に据えた民間研としての固有性を明らかにすることを目指している。戦前に発足した(4)教育科学研究会は、戦後に再建される過程においてその組織論と運動論をめぐる格闘の過程があった。そのことを「綱領」や「活動方針」を検討して明らかにするとともに、地域組織の展開にも着目する。(5)数学教育協議会は、他の教科教育の研究運動にも影響力を持つ中心的な位置づけを占めてきたが、その背景にあった子どもの発達論への信頼が1970年代以降に揺らぎをみせる中で、科学のもつ生活性をどのように捉え返したのかに焦点を当てる。(6)日本生活教育連盟については、その前身であるコア・カリキュラム連盟の発足時に遡りつつ、日生連の実験学校としての役割を引き受けてきた和光小学校の実践に注目する。この他、(7)産業教育研究連盟や(8)全国夜間中学校研究会についても研究を進めているところである。
(1)科学教育研究協議会については、戦時下の「生活の科学化」論議がどのように整理され戦後の理科教育の構想につながったのか、とりわけ「科学的精神」に着目することで戦前・戦後のねじれが見えてくると考えている。特に、科学教育研究会の中心人物である菅井準一と玉田泰太郎に着目する。(2)全国生活指導研究協議会については、その運動を支えた理論形成においてどのような参照言説の変化があったのかに着目し、さらにその運動を引き受けた教師の実践の成立しやすさ/しにくさの背景を検討することで、運動史が照らし出す教育課題の変化について明らかにする。(3)到達度評価研究会については、先行研究の蓄積がない対象であるが、学力保障と住民自治を正面に据えた民間研としての固有性を明らかにすることを目指している。戦前に発足した(4)教育科学研究会は、戦後に再建される過程においてその組織論と運動論をめぐる格闘の過程があった。そのことを「綱領」や「活動方針」を検討して明らかにするとともに、地域組織の展開にも着目する。(5)数学教育協議会は、他の教科教育の研究運動にも影響力を持つ中心的な位置づけを占めてきたが、その背景にあった子どもの発達論への信頼が1970年代以降に揺らぎをみせる中で、科学のもつ生活性をどのように捉え返したのかに焦点を当てる。(6)日本生活教育連盟については、その前身であるコア・カリキュラム連盟の発足時に遡りつつ、日生連の実験学校としての役割を引き受けてきた和光小学校の実践に注目する。この他、(7)産業教育研究連盟や(8)全国夜間中学校研究会についても研究を進めているところである。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K02456
- 体系的課題番号 : JP20K02456
この研究課題の成果一覧
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論文
2-
〈教育と社会〉研究 (32) 17-23 2022年8月 招待有り
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教育目標・評価学会紀要 (31) 27-32 2021年12月 招待有り
講演・口頭発表等
1-
教育目標・評価学会 第31回大会 2020年12月12日 教育目標・評価学会 招待有り