2019年5月
急性音響外傷におけるERKシグナルのリン酸化とその機能的役割
耳鼻咽喉科ニューロサイエンス
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- 巻
- 33
- 号
- 開始ページ
- 69
- 終了ページ
- 72
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 耳鼻咽喉科ニューロサイエンス研究会
マウスを用いて、音響外傷と有毛細胞に関するERK2の役割について検討した。Cre/loxPシステムを用いて内耳有毛細胞特異的Erk2遺伝子ノックアウトマウス(HC-E2CKO)を作製し、音響外傷におけるERK1/2のリン酸化と発現について検討を行った。作製には、Erkflox/floxマウスを内耳有毛細胞特異的な遺伝子であるPou4f3のcreマウスと交配させた。さらに音響外傷後の聴力と有毛細胞の生存率についても評価した。音響外傷直後に、蝸牛外側壁とコルチ器においてERK1/2のリン酸化を確認した。特に、コルチ器では有毛細胞や支持細胞でリン酸化を認めた。そこで、HC-E2CKOマウスを用いて、有毛細胞でのERK2の役割について解析した。まず、HC-E2CKOマウス(8週齢)で蝸牛の形態について検討したが、コントロールと比較して明らかな形態異常を示さず、有毛細胞と一部の支持細胞を除いてはERK2の発現に変化は認めなかった。音響外傷後におけるHC-E2CKOマウスの聴力評価を行ったところ、コントロールでは部分的な聴力の回復を示したが、HC-E2CKOではほとんど回復を示さず、高周波数領域(32kHz)において有意差を認めた。
- ID情報
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- 医中誌Web ID : 2019364221