2021年4月 - 2024年3月
腫瘍微小環境における鉄代謝の役割解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
- 課題番号
- 21H02764
- 体系的課題番号
- JP21H02764
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
-
- (総額)
- 17,420,000円
- (直接経費)
- 13,400,000円
- (間接経費)
- 4,020,000円
本年度の研究では、腫瘍微小環境における鉄代謝動態の俯瞰、がん細胞および免疫細胞における鉄代謝の変容と腫瘍進展の関連解析について、それぞれ研究を進めた。腫瘍微小環境における鉄の動態を組織鉄染色法にて評価したところ、大腸がんにおいてマクロファージの鉄代謝が変容していることを見出した。そこで、マクロファージにおける鉄代謝の変化と免疫応答の関連性を調べるため、in vitroの実験系にて鉄過剰および鉄欠乏条件下におけるマクロファージのサイトカイン産生能をRNAシーケンス解析により比較した。その結果、細菌表面に存在するリポ多糖(LPS)に応答したマクロファージのサイトカイン産生能が、鉄欠乏条件下において減弱することを見出した。さらに、このメカニズムとして、鉄欠乏条件下ではLPSに応答する転写因子NFkBの活性が減弱することを明らかにした。
さらに、がん細胞における鉄代謝の変容と腫瘍進展の関係についても解析を進めた。肺がん細胞において、ゲノム編集を用いて鉄代謝制御因子FBXL5およびIRP2を欠失させた細胞を作出し、鉄代謝の変容とがん細胞の増殖の関係を調べた。その結果、鉄代謝の変容によりがん細胞のin vitroにおける足場非依存的増殖が抑制されることが分かり、これは細胞周期のG1期からS期への進行が遅延するために起こることを見出した。さらに、マウスに移植した肺がん細胞も同様に鉄代謝の変容により腫瘍増殖が抑制されることがわかった。
以上の研究成果をふまえ、鉄代謝と炎症応答および腫瘍進展の関係性について学会発表を行い、論文を投稿した。
さらに、がん細胞における鉄代謝の変容と腫瘍進展の関係についても解析を進めた。肺がん細胞において、ゲノム編集を用いて鉄代謝制御因子FBXL5およびIRP2を欠失させた細胞を作出し、鉄代謝の変容とがん細胞の増殖の関係を調べた。その結果、鉄代謝の変容によりがん細胞のin vitroにおける足場非依存的増殖が抑制されることが分かり、これは細胞周期のG1期からS期への進行が遅延するために起こることを見出した。さらに、マウスに移植した肺がん細胞も同様に鉄代謝の変容により腫瘍増殖が抑制されることがわかった。
以上の研究成果をふまえ、鉄代謝と炎症応答および腫瘍進展の関係性について学会発表を行い、論文を投稿した。
- ID情報
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- 課題番号 : 21H02764
- 体系的課題番号 : JP21H02764