本研究は、1860年代前後を中心に当時のジャーナリズムを賑わせた「高級娼婦」―"Skittles"―の存在を視野に入れることで、研究者がこれまで取り組んできたテーマ――ヴィクトリア朝における売春婦をめぐる言説の研究を発展させることを目的としている。"Skittles"の研究は、ヴィクトリア朝の「家族」の言説を支えるイデオロギーとしての売春婦の重層性を炙り出すことで、19世紀英国小説の読解に新たな視点を提供してくれる可能性を秘めている。