共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2020年3月

骨格筋および末梢循環における力学的負荷の重要性の解明

文部科学省  新学術領域(領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
18H04993
体系的課題番号
JP18H04993
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

運動が有する健康の増進効果は広く認められ、その分子機構解明を通して、多くの疾患の予防および予後改善のための医療応用が求められている。しかしながら、運動の持つ健康増進効果の分子機構は未だ明らかにされていない。人体は、宇宙環境においては、重力の減少により、人体機能の変化が多く観察されている。最も大きな変化は、重力の喪失による筋組織(心臓・骨格筋)の萎縮である。この変化は、地上において、寝たきりの患者においても見られる変化であり、寝たきり患者においては、通常生活を送っている同疾患の患者に比べて、予後が不良であることが明らかにされている。すなわち、人体は日々の生活においても、地球の重力に対して抵抗し、それが筋組織恒常性の維持に関わることが強く示唆されている。本研究では、これら機械的シグナルを細胞内シグナルに変容させるシグナルトランスデューサとして非選択的カチオンチャネルTRPC3, TRPC6に着目し、これらチャネル分子が筋組織の恒常性に資する生理的意義の解明を行った。その結果、心筋をモデルとした萎縮機構において、TRPC3と活性酸素種産生酵素Nox2との機能連関が重要な役割を果たしていることを明らかにした。さらに、心筋に対して萎縮を惹起するストレスとなる飢餓ストレスや、抗がん剤による化学毒性は心筋細胞からのATPの遊離を惹起し、この細胞外ATPがP2Y2受容体を活性化することでTRPC3-Nox2経路を活性化することを明らかにした。また筋組織において重要な末梢血管網において、TRPC6チャネルは血管の機械的恒常性に資する平滑筋の細胞増殖・分化のバランスを制御する重要な役割を有することを明らかにした。以上から、TRPC3,TRPC6は筋細胞自体および末梢循環を制御することで、筋組織の恒常性維持に重要な役割を果たしていることを明らかにした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-18H04993
ID情報
  • 課題番号 : 18H04993
  • 体系的課題番号 : JP18H04993