2010年3月
坐位傾斜反応における頭部・体幹・骨盤運動の定量的評価
山形保健医療研究
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- 巻
- 13
- 号
- 開始ページ
- 7
- 終了ページ
- 17
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (公大)山形県立保健医療大学
本研究では、坐位側方傾斜反応(以下、傾斜反応)における頭部・体幹・骨盤運動を全運動方向について定量化し、運動方向とタイミングに着目して傾斜反応の誘導方法を検討した。対象は健常青年21名(男性11名、女性10名)とし、三次元動作解析装置(Vicon370)を用いて傾斜反応における、頭部及び体幹の屈伸・側屈・回旋と骨盤の前後傾斜・側方傾斜・回旋の角度を計測し、タイミング(運動開始順位と運動開始時の傾斜角度)、位置関係(最大傾斜時の身体各部の運動方向と運動角度)をそれぞれ解析した。傾斜角度は20度に設定し、傾斜速度は毎秒5°、10°の2種とした。最大傾斜時の運動方向と運動角度の結果から、最大傾斜時には頭部非傾斜側側屈、体幹屈曲、体幹非傾斜側側屈、体幹非傾斜側回旋、骨盤非傾斜側側方傾斜が主要な運動方向であった。また、頭部非傾斜側側屈、体幹屈曲、体幹非傾斜側側屈、体幹非傾斜側回旋についてのROM比率(運動角度を最大自動運動角度で除した値)は、それぞれ16%、10%、36%、16%で、他の頭部・体幹の運動方向より高い比率を示した。運動開始順位と運動開始時の傾斜角度の結果から、全ての運動が傾斜角10°より前で始まり、反応の初めで起こる運動は体幹非傾斜側回旋・非傾斜側側屈と頭部非傾斜側側屈であり、骨盤運動は後半に開始する傾向があった。また、傾斜速度5°に比べ、傾斜速度10°の方が身体部位間で運動開始時の傾斜角度に有意差がある組み合わせが多かった。以上のことから、坐位での理学療法において傾斜反応を誘発するときに留意すべき運動の方向とタイミングについて、今回の研究では、傾斜反応に最も関係する運動方向は頭部非傾斜側側屈、体幹屈曲、体幹非傾斜側側屈、体幹非傾斜側回旋、骨盤非傾斜側側方傾斜であり、この中ではじめに誘導すべき運動方向は体幹非傾斜側回旋と体幹非傾斜側側屈、後半で誘導すべき運動方向は骨盤非傾斜側側方傾斜であることが示唆された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1343-876X
- 医中誌Web ID : 2010240564