共同研究・競争的資金等の研究課題

2014年4月 - 2016年3月

目的指向性行動から習慣への安定的移行を制御する側坐核可塑性の役割

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
26120712
体系的課題番号
JP26120712
配分額
(総額)
9,100,000円
(直接経費)
7,000,000円
(間接経費)
2,100,000円

初年度に引き続き、cfos-LacZトランスジェニックラットを用いて道具学習時に脳内で誘導されるc-fosの発現部位とそのパターン変化について、訓練獲得状況との相関を見ながら検討を行った。まず、線条体でのc-fos発現は、訓練開始2,7,21,28日目では側坐核のmedial shellの他は介在神経とグリア細胞に発現が限局し、中型有棘細胞での発現は極めて乏しいことを確認した。ところが訓練14日目では、線条体の全域で一致して中型有棘細胞に強い発現誘導を認めた。この発現はドパミンD1受容体陽性細胞と同D2受容体陽性細胞の両方で認められたが全体にD1優位で、特に目標指向性行動に関わる背内側線条体でD1/D2比が高く、反対に習慣に関わる背外側線条体でその比が最も低かった。この訓練14日目前後で行動の質的変化が起きていないかを検討する目的にて、訓練反復がラットのレバー押しの速度にどのように影響を与えるかを解析した。動物は30分のセッション間に最低数百から最高数千回のレバー押しを行うが、各レバー押しのタイミングデータから2回のレバー押しの間隔の逆数をレバー押し速度とし、其の速度変化について訓練初期から訓練後期に至るまでの推移について検討したところ(N=39-40)、動物は訓練当初は遅いレバー押し行動が行動全体の60%近くを占めるが、訓練の反復に従い次第に早いレバー押し行動が増え、訓練14日目前後で遅い行動から早い行動へのシフトが起きていることが確認された。この道具訓練はランダム間隔スケジュールを採用しているため、ラットは訓練初期の遅いレバー押しでも有効に餌を獲得することができており、すなわち遅いレバー押し行動はノイズ成分ではない。そこで現在「遅いレバー押し行動」が目標指向性行動に、「早いレバー押し行動」が習慣に相当すると仮説を立て、これを行動薬理学的に証明を試みている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-26120712
ID情報
  • 課題番号 : 26120712
  • 体系的課題番号 : JP26120712