共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

生体データに基づく個体別筋骨格シミュレーションに関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K10047
体系的課題番号
JP20K10047
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

本年度は、研究計画に基づいて患者別筋骨格解析における境界条件設定アルゴリズムを構築した。
すなわち、歯科治療を受ける個々の患者さんの顎の関節の動きを生体シミュレーション上で再現する試みである。具体的には、最初にチェアサイドで計測した顎関節症患者における治療前、治療前後、経過観察時の顎運動を3次元座標データで出力する。同運動データに対して、デジタルフィルター処理を実施することにより、計測時のノイズ除去を行う。プロセシング後の運動データを筋骨格解析ソフトウェア(AnyBody)にインプットし顎関節の形状を再現した拘束面を設定する。同拘束面上で出力した3次元座標データに基づいて顎骨コンポーネントの動作定義をし、ヒト下顎骨の左右側下顎頭の動きを再現する。
以上により、患者個々にバライティを有する顎の動きを筋骨格シミュレーション上で再現することが可能となる。本年度は、同解析を用いた患者別の顎運動のみならず、顎関節反力、筋活動量、筋力、等の生体内では計測が難しい生体力学・運動学的パラメータの推定に成功している。実際に顎関節症を有する被験者の解析においては、患側・健常側における各種パラメータ間において左右差が認められており、臨床症状に対して生体が適応している可能性を裏付ける結果が認められている。この種の運動解析はスポーツ科学や医科整形学分野などでの応用は進んでいるが、研究代表者の知る限りでは、歯科領域における臨床データの適応は世界初である。
次年度以降、解析の妥当性の検証とともに被験者数を増やし臨床データに基づいた筋骨格解析の確立へ向けて研究計画を遂行する予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K10047
ID情報
  • 課題番号 : 20K10047
  • 体系的課題番号 : JP20K10047