論文

2011年2月

ネギの初期生育におけるヘテロシスに関する研究

野菜茶業研究所研究報告
  • 小原 隆由

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1
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38[含 英語文要旨]
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
農業技術研究機構野菜茶業研究所

近年,国内のネギ生産においては機械化・省力化による生産コスト低減が重要な諜題となっており,全自動移植機の導入を可能にするセル成型育苗法に対応した技術の開発が盟まれている. しかし,ネギは初期生育の極めて遅い作物であり,培地量が少なく育苗期間が限られるセル育苗では,慣行の地床育苗に比べ極めて小さい苗を移植せざるを得ない. このため,移植後の活着が乾燥や湿害などの影響を受けて不安定になることが多く,収量減を招く場合もある.この対策として,初期生育に現れる雑種強勢(ヘテロシス)を活用し,限られた育苗期間内により旺盛な生存を示すF1品種を育成することが有効と考えられる. しかし, これまでネギのヘテロシスの程度や組合せ能力についての情報はほとんど報告されていない.また,ゲノムサイズが巨大であること,自植弱勢が著しいこと等の理由から,遺伝・育種学的制究が遅れている.本研究ではまず始めに,ネギの初期生育においてどの限度のヘテロシスが発現するのか,また,どのような品種間の組合せでヘテロシスが現れるのかを把揮するため,幅広い品種群にネギ11品種の間で作成した40組合せのF1を供試し,初期生育日およびそのヘテロシスを調査した.移植4週間後の生体重では,両親平均に対して-3~70% (平均21%),優良親対比でも1O~46% (平均10%)のヘテロシスが現れた.高いヘテロシスを示す組合せは千住群×九条群に最も多く含まれていたが,千住群内の組合せにおいても実用的に高いヘテロシスを現す組合せが認められた.草丈,根数,相対生長率についてもヘテロシスが現れたが,その程度は生体重に比べ小さかった.また,DNA多型から推定した品種1間の遺伝的距離により, F1に現れるヘテロシスが予測可能か否かを検証するため, 11品積のAFLP分析によって得られた128のDNA多型を用いて親品種間の遺伝的距離を算出した. この遺伝的距離に基つきUPGMA法によるクラスター分析を行ったところ,形態・生態的特性による従来の品種群分類と良く一致したことから,本試験で得たAFLPマーカーおよび遺伝的距離は概ねネギ品種間の遺伝的な変異を反映していること,ネギのDNAレベルでの品種群分類にAFLPマーカーが利用可能であることが示唆された,AFLPに基づく遺伝的距離と移植4週間後の各形質における両親平均対比のヘテロシスとの間には有意な相関が認められたが,その相関は高くなかった.また,優良親対比のヘテロシスとの遺伝的距離との間の相関は総じて低かった. これらのことから, AFLPに基づく遺伝的距離により品種間F1のヘテロシスの予測を行うことは難しいと判訴された.(以下略)

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http://ci.nii.ac.jp/naid/120005321234
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  • ISSN : 1346-6984
  • CiNii Articles ID : 120005321234
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000272632108

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