共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2006年

機能プロテオミクス解析法を用いたカルモデュリン・キナーゼカスケードの生理機能解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17570115
体系的課題番号
JP17570115
配分額
(総額)
3,500,000円
(直接経費)
3,500,000円

生体内において細胞内カルシウムは細胞内情報伝達因子として、神経伝達物質の放出さらには、遺伝子発現調節にいたる様々な独立した細胞内反応機構を介して、統合的に高次機能を制御していると考えられる。特に、カルシウム受容タンパク質であるカルモデュリン(CaM)を活性化因子とするCa^<2+>/CaM-依存性タンパク質リン酸化酵素群(CaM-キナーゼ)によるリン酸化反応を介した情報伝達機構が、これら多様なカルシウムシグナル伝達の中心的なメカニズムの一つと考えられている。近年、2種類の多機能性CaM-キナーゼ(CaM-KIおよびCaM-KIV)がCaM-KKによるリン酸化反応を介して機能調節を受けることが明らかとなり、CaM-キナーゼカスケードと呼ばれる新しいカルシウム情報伝達機構の概念が提唱された。
17年度の本研究において、CaM-キナーゼカスケードの標的リン酸化基質分子の一つとして神経細胞運命決定因子Numb/Numblを機能プロテオミクス法を用いて同定するとともに、リン酸化特異抗体の作成に成功した。本抗体によりNumb/Numblのリン酸化は生理的な現象である事が明らかとなった。18年度においては、このNumb/Numblのリン酸化反応の生理的意義を生化学的、分子生物学的に検討したところ、14-3-3タンパク質がリン酸化依存的に相互作用する事が明らかとなった。またNumbは非リン酸化状態ではエンドサイトーシス関連タンパク質であるAP-2複合体と相互作用しているが、この物理的相互作用はリン酸化により解除されることが明らかとなった。これらのことから哺乳動物のカルモデュリン依存性キナーゼカスケードを介したタンパク質リン酸化反応をともなう情報伝達機構によりエンドサイトーシスの調節が行われる可能性を示唆するものとなった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17570115
ID情報
  • 課題番号 : 17570115
  • 体系的課題番号 : JP17570115