資料公開

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タイトル 2023年中国会社法改正第三次草案三題―種類株式・監査委員会設置会社・取締役の対第三者責任―
カテゴリ 研究論文
概要 中国では2023年12月29日に全人代によって改正会社法が公布された。当該会社法改正は、2021年12月24日に会社法改正草案(第一次草案)が公表され、その後、2022年12月27日には第二次審議稿(第二次草案)、2023年9月1日に第三次審議稿(第三次草案)が公表されていた。
本稿は、第二次草案との比較を検討した中日民商法研究会第20回研究大会報告(https://researchmap.jp/tokutsu/presentations/43395322)を基に、第三次草案と日本の会社法の経験との比較を行ったものである。

今回の中国会社法改正は非常に大規模な改正であり、改正事項は主要なものだけでも、①選択式の監査委員会制度の導入(伝統的な董事会〔日本法上の取締役会・取締役に相当〕・監事会〔日本法上の監査役会・監査役に相当〕の二層式から董事会内の監査委員会という一層式の導入)(第三次草案69条・121条1項)、②一定規模以上(従業員300名以上)の会社への従業員代表董事の導入(第三次草案68条1項・120条)、③株主出資義務(資本払込責任・従前の資本充実責任)関係規定の整備(第三次草案49-52条・98―99条)、④授権資本制度(董事会決定による新株発行)(第三次草案152条)、⑤種類株式の多様化(第三次草案144条)、⑥董事等の対第三者責任(第三次草案191条) などがある。このうち本稿では②監査委員会制度、⑤種類株式の多様化、⑥董事の対第三者責任について、日本の法制度と経験を参照することで、新たな中国会社法に対する提言がないかを検討する。