論文

査読有り 責任著者 国際誌
2020年8月

愛媛県の冬小麦栽培圃場における窒素動態

  • タメレ ロザリナ アルマンド
  • ,
  • 当真 要
  • ,
  • 上野 秀人

記述言語
英語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.1080/00380768.2020.1806004

窒素(N)は作物生産に最も重要な制限因子である.従って,その循環の解明はN利用効率を向上させ溶脱や亜酸化窒素(N2O)排出等の環境負荷の低減に重要である.2017年11月12日から2018年6月3日および2018年11月12日から2019年5月27日にかけて,愛媛県の冬小麦畑のN動態を2年間調査した.また,N動態モデルを設け慣行施肥(被覆肥料を含む120 N kg ha-1)栽培でのN収支を求めた.さらに,植物の肥料Nの吸収量と施肥N由来のN2O発生量を求めるため2処理区(無N区と低N区)を加え,計3処理区を4反復で設けた.土壌からのN2O発生はクローズドチャンバー法を用い,間接排出は排出係数を用いて推定した.N溶脱量と土壌無機化N量はマイクロライシメーター,大気N沈着量はレイントラップで測定した.小麦のN吸収量(208 kg N ha-1)と収穫N量(190 kg N ha-1)は主要なNアウトプットだった.小麦が吸収したNの58.1%が施肥N由来,41.9%が土壌由来だった.また,深さ30 cmまでの表層土壌からのN溶脱量(30.1 kg N ha-1)も主要なNアウトプットであった。表層土壌の無機化N量は104 kg N ha-1と見積もられ,溶脱N量の91%を占めていた.N2O排出量は直接・間接放出共に少なかった.2年間の平均N収支は-86.8 kg N ha-1と圃場からNが減少しており,土壌のN状態を維持し環境にやさしい農業の実施には,Nの溶出を抑制できる堆肥やバイオ炭等の有機物で土壌Nを補う必要がある.

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DOI
https://doi.org/10.1080/00380768.2020.1806004
URL
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/00380768.2020.1806004
ID情報
  • DOI : 10.1080/00380768.2020.1806004

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