MISC

2017年6月

子ども期への低用量化学物質ばく露が誘発する情動認知行動影響の定量的解析法の開発状況と評価法確立への未来 情動認知行動影響の毒性評価における神経回路機能イメージング法を用いた神経基盤解析

The Journal of Toxicological Sciences
  • 冨永 貴志
  • ,
  • 冨永 洋子

42
Suppl.
開始ページ
S131
終了ページ
S131
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14869/toxpt.44.1.0_s22-5
出版者・発行元
(一社)日本毒性学会

脳の発生発達期には,低用量の化学物質の作用によって成長後の脳機能の発現が阻害され,動物モデルでもその情動認知行動の変化が定量的に計測される。この脳機能の変調の神経基盤を定量的に記載することができ,発生発達期の初期に変調のサインを見出すことが可能であればその化学物質の脳機能発達への危険性を評価することができるようになる。また,神経基盤が分かればその回避法についても考慮することが可能になる。脳機能は,様々な機能階層によって担われているが,行動異常と相関する機能階層としては,脳の領野ごとの機能発現,それを支持する神経回路の機能発現を捉えることが重要である。本研究では,そのような機能階層の機能を網羅的,定量的に計測する手段として,膜電位感受性色素(voltage-sensitive dye:VSD)を用いた神経回路機能イメージング法が有用であることを示す。膜電位感受性色素は神経細胞の膜に取り込まれて神経の膜電位変化に比例した光信号を出す分子プローブである。この色素で神経細胞を染色することにより,ミリ秒オーダーで変化する膜電位変化を光学的に計測し,神経細胞の活動電位とシナプスでの受容電位を網羅的に可視化することができる。この手法を用いることで神経細胞からなる脳の情報処理のダイナミズム網羅的に可視化することが可能になるのである。本発表では,マウスをモデル動物して用いてバルプロ酸(VPA),ビスフェノールA(BPA),ネオニコチノイド系農薬類の妊娠期あるいは幼若期投与によっておこる行動異常と対応した異常が海馬神経回路でどのように起こっているかを示す。実験手法をなるべく詳細に紹介することで実際の化学物質の毒性評価における有用性を示す。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14869/toxpt.44.1.0_s22-5
CiNii Research
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001205549202432?lang=ja
ID情報
  • DOI : 10.14869/toxpt.44.1.0_s22-5
  • ISSN : 0388-1350
  • eISSN : 1880-3989
  • 医中誌Web ID : 2018343824
  • CiNii Articles ID : 130006582292
  • CiNii Research ID : 1390001205549202432

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