論文

査読有り
2012年4月15日

訪問看護の潜在ニーズを含めたニーズの推計

厚生の指標
  • 田口敦子
  • 永田智子
  • 成瀬昂
  • 桑原雄樹
  • 福田敬
  • 山田雅子
  • 吉池由美子
  • 八巻心太郎
  • 中尾杏子
  • 田上豊
  • 村嶋幸代
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59
4
開始ページ
16
終了ページ
22
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一財)厚生労働統計協会

目的 本研究では,訪問看護を必要とする患者数・要介護者数の潜在ニーズまで含めた推計を行い,その活用可能性を提示することを目的とした。方法 ニーズ推計では,今後各自治体が自身で定期的に推計できるようになることに留意し,いずれの都道府県や自治体でも入手しやすい既存の統計データを用いるように努めた。既存の統計から得られないデータについては,質問紙調査から得た。顕在ニーズと潜在ニーズのいずれも,介護保険と医療保険を分けて推計し,その後合算した。可能な限り2008年の統計データを用いたが,2008年のデータがないものについては推計値や直近のデータを用いた。結果 調査票を発送した施設・事業所3,740ヶ所のうち,1,241ヶ所から回答があった(回収率33.2%)。施設・事業所から得た利用者データの回収数は43,018人で,有効回答数は42,636人であった。2008年の全訪問看護利用者数,すなわち,顕在ニーズは317.9千人(内訳:介護保険256.5千人,医療保険61.4千人)であった。潜在ニーズの小計は262.2千人(内訳:居宅および介護施設で213.0千人,医療療養病床および一般病床で36.6千人,精神病床で12.6千人)であった。2008年度における顕在ニーズと潜在ニーズを合算した訪問看護ニーズの総数は580.1千人であった。結論 潜在ニーズを含めた訪問看護ニーズは,現在の顕在ニーズの1.8倍であることが明らかとなった。今回開発した方式および調査結果として算出した数値割合は,各都道府県や自治体にある既存統計を活用することによって訪問看護ニーズが算出可能なこと,人口や要介護度の増減を調整できるため,地域の実情に応じてシミュレーションが可能であることから,有用性が高い。都道府県や自治体が医療計画や介護保険事業計画等の立案時に,潜在ニーズも含めた訪問看護ニーズを把握し,供給体制を整備していく上で役立つことが期待される。(著者抄録)

リンク情報
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201202253989511966
ID情報
  • ISSN : 0452-6104
  • 医中誌Web ID : 2012210346
  • J-Global ID : 201202253989511966

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