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2015年12月

歯肉組織におけるWnt5aとsFRP5の発現機能解析(Investigation of Wnt5a and sFRP5 Expressions in Healthy and Chronic Periodontitis Tissues)

新潟歯学会雑誌
  • 前川 知樹

45
2
開始ページ
59
終了ページ
66
記述言語
英語
掲載種別
出版者・発行元
新潟歯学会

歯周病は細菌のバイオフィルムによって引き起こされる感染症であり、宿主との免疫反応によって歯周組織の破壊と歯槽骨の吸収を引き起こす。Wnt5aは、歯周病を含む炎症反応と強い関連が報告されている。Soluble frizzled related protein-5(sFRP5)はWnt5aの受容体の相同体であり、Wnt5a経路を阻害する。歯周炎組織と健常歯肉組織においてWnt5aとsFRP5の関連性については不明な点が多い。そこで本研究では、ヒト歯肉サンプルでのWnt5aとsFRP5のmRNA発現、ヒト歯肉上皮細胞(HGECs)におけるinterleukin-8(IL-8)mRNAとケモカインのレベルを定量的PCRおよびELISAにて各々解析した。健常組織と比べて歯周病罹患組織においてWnt5a遺伝子発現は高く、sFRP5発現は抑制されていることが明らかになった。同様に、HGECsにおいてもPorphyromonas gingivalisリポ多糖によりWnt5a発現の上昇とsFRP5発現の抑制が認められた。加えて、sFRP5のHGECsにおけるIL-8の産生抑制効果が認められた。以上の事から、HGECsではWnt5aとsFRP5は双方発現し負の相関関係にあることが初めて示された。また、Wnt5aは歯周病治療の対象となること、sFPR5が歯周病治療化合物として使用可能であることが示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0385-0153
  • 医中誌Web ID : 2016203576

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