講演・口頭発表等

2019年3月22日

ヒトiPS細胞及びゲノム編集技術を用いたCYP2C19のpoor metabolizerのモデル細胞の作製と創薬応用

日本薬学会第139年会
  • 出口清香
  • ,
  • 山下智起
  • ,
  • 井貝圭佑
  • ,
  • 高山和雄
  • ,
  • 水口裕之

開催年月日
2019年3月20日 - 2019年3月23日
記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
主催者
日本薬学会
開催地
千葉
国・地域
日本

【目的】CYP2C19 は肝臓における医薬品代謝に関わる重要な薬物代謝酵素である。 CYP2C19 の活性が消失する poor metabolizer では、CYP2C19 の基質となる薬が予想外の毒性を生じたり、薬効が消失したりするケースがある。しかし、CYP2C19 poor metabolizer のモデル細胞はないため、CYP2C19 poor metabolizer に適した医薬品開発は現状の技術では不可能である。そこで本研究では、ヒト iPS 細胞及びゲノ ム編集技術を用いて、CYP2C19 poor metabolizer のモデル細胞を作出し、創薬応用を目指す。
【方法】我々が独自開発した高効率なゲノム編集技術(Nuc Acid Res 2017)と肝細胞分化誘導技術を用いることにより、CYP2C19欠損ヒトiPS細胞由来肝細胞(CYP2C19-KO肝細胞)を作製し、創薬応用を行った。
【結果・考察】作製したCYP2C19-KO iPS細胞は野生型iPS細胞と同様に、未分化能および肝分化能を保持していることを遺伝子発現解析および免疫染色により確認した。また、S-mephenytoinを用いて CYP2C19の代謝能をLC-MSにより調べたところ、CYP2C19-KO肝細胞ではCYP2C19の代謝能を消失していた。さらに、肝障害を起こした報告のあるClopidogrelを野生型肝細胞および CYP2C19-KO肝細胞に作用させたところ、予想に反して細胞毒性レベルに差異は認められなかった。しかし、CYP2C19-KO 肝細胞においてketoconazoleによりCYP3A4の活性も大幅に低下させることにより、Clopidogrelによる細胞毒性を大幅に軽減できた。この結果より、Clopidogrelによる肝細胞毒性はCYP2C19とCYP3A4を介したものであることが示唆された。以上のことから、CYP2C19欠損ヒトiPS細胞由来肝細胞は CYP2C19 poor metabolizerのモデル細胞になりうることが示唆された。

リンク情報
URL
http://nenkai.pharm.or.jp/139/web/