共同研究・競争的資金等の研究課題

2012年4月 - 2014年3月

転写因子NF-Yを介した新たな神経維持・変性機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
24111553
体系的課題番号
JP24111553
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
11,700,000円
(直接経費)
9,000,000円
(間接経費)
2,700,000円
資金種別
競争的資金

NF-Yは、NF-YA, -YB, -YCの3者複合体からなる転写因子であり、プロモーター領域のCCAATモチーフに結合し、遺伝子発現を制御している。そのノックアウトマウス・繊維芽細胞を用いた解析から、NF-Yが細胞周期制御を介した細胞増殖に必須であること、その活性は非分裂細胞へと分化する際に消失することが知られている。一方で、最近我々は、NF-Yが分化した非分裂の神経細胞でも活性があること、また、神経変性疾患であるハンチントン病で、その活性が低下することを明らかとした。これらのことから、NF-Yは分化した神経細胞でも、その維持・機能になんらかの役割を担っていると期待される。
本研究ではNF-YAの脳神経細胞特異的ノックアウトが、グリオーシスを伴う神経脱落を引き起こし、マウス脳重・体重減少、寿命短縮といった症状を誘発することを明らかとした。興味深いことに、変性神経細胞では、膜タンパク質の不溶化しユビキチンやp62と共に小胞体に蓄積すること、また小胞体自体も異常に増加していることが確認された。また、クロマチン免疫沈降-DNA microarray(ChIP-chip)により、小胞体シャペロンであるGrp94等が同定され、これらが小胞体構造変化に関わっていることが示唆された。以上のことから、NF-Yが神経細胞の生存に必須であることが明らかとなると共に、その欠損が異常タンパク質の蓄積や小胞体構造異常を伴う特徴的な神経変性病態を引き起こすことが明らかとなった。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/p/24111553
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-24111553
ID情報
  • 課題番号 : 24111553
  • 体系的課題番号 : JP24111553