2021年4月 - 2024年3月
次世代の耐性菌対策を考慮した、国際的ハイリスク病原性細菌の市中内定着様式の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
本研究では、フルオロキノロン耐性大腸菌ST131をモデルに、『院内』で問題となるAMR感染症を『院外(市中)』からのプローチでその伝播・定着様式を明らかにすることで、現行のAMR対策が報われない国際的なAMR問題の根本的解決に繋がる次世代型(院内-市中一体型)AMR対策に資する科学的知見を提供することが本研究の目的である。本目的達成の為、本年度は、ST131の伝播状況と伝播様式および定着メカニズム(定着因子の同定)を行なった。具体的には、同一地域(札幌市内)から同一時期に院内及び市中の各サンプル群(患者、健常者、動物、環境)から大腸菌を一斉に分離した。その後、シプロフロキサシンに耐性だった株を対象にST131の検出PCRおよび次世代シーケンス解析により行なった。その結果、ヒトの臨床検体(大学病院)からは25%, ヒトの臨床検体(市中クリニック)からは19.2%, ヒトの健常者の便検体からは16.1%, 伴侶動物(犬や猫)の直腸スワブからは18.3%, 家畜の牛、豚、鶏の便検体からはそれぞれ9.5%, 0%, 6.7%のフルオロキノロン耐性率であった。分離大腸菌全体に占めるST131の割合は、ヒトの臨床検体(大学病院)からは12.5%, ヒトの臨床検体(市中クリニック)からは5.7%, ヒトの健常者の便検体からは8.2%, 伴侶動物(犬や猫)の直腸スワブからは15.9%, 家畜の牛、豚、鶏の便検体からは1株も分離されなかった。
- ID情報
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- 課題番号 : 21H03622
- 体系的課題番号 : JP21H03622