2013年11月
失われた世界の「フォークロア」——今こことは別の水脈をたどって
Second After
- 巻
- 号
- 3
- 開始ページ
- 124
- 終了ページ
- 153
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 記事・総説・解説・論説等(その他)
批評誌に寄稿した評論。
村上春樹は、小説作品の内に歴史的な日付や年数を持ち込みながら、それが指し示す現実の時空や社会的な文脈を生のままに採録するのではなく、ひとつの個の「物語(ナラティブ)」として書き留め、独自の「フォークロア」を紡いできた作家であることを指摘した。そのうえで、春樹の小説を軸に、フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』、夏目漱石『こころ』、東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』などを参照し、『1Q84』や『多崎つくる』といった作品に至るまで、その「喪失と鎮魂」を巡って論じた。
村上春樹は、小説作品の内に歴史的な日付や年数を持ち込みながら、それが指し示す現実の時空や社会的な文脈を生のままに採録するのではなく、ひとつの個の「物語(ナラティブ)」として書き留め、独自の「フォークロア」を紡いできた作家であることを指摘した。そのうえで、春樹の小説を軸に、フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』、夏目漱石『こころ』、東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』などを参照し、『1Q84』や『多崎つくる』といった作品に至るまで、その「喪失と鎮魂」を巡って論じた。