共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2019年3月

物価変動のミクロ的基礎付けに関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
  • 庄司 俊章

課題番号
16J09620
配分額
(総額)
1,300,000円
(直接経費)
1,300,000円
(間接経費)
0円

2018年度は、下記3点の研究が進展した。
第1に、2014年の消費増税の前後で発生した駆け込み需要と反動減を、消費者の備蓄行動の観点から分析する実証研究に取り組んだ。消費増税の大きな特徴は、多くの財に一斉に価格上昇圧力が加わり、財の間ではなく時点を通じた裁定行動を消費者に強制したという点である。本研究については、2019年1月のAmerican Economic Associationの年次総会においてポスター発表する機会を得て、多くの有益なコメントを受けた。
第2に、消費増税直後の企業の価格設定行動を検証する実証研究を行った。Feldstein (2002)は、消費増税を通じて物価を浮揚させることができれば、ゼロ金利下でも景気を刺激することが可能だと主張している。この主張の背後には、税込み価格ではなく税抜き価格が硬直的であるという仮定がある。この仮定の妥当性を検証し、本研究は以下の発見を得た。第1に、税抜き価格の半数以上が増税後も据え置かれた。第2に、より重要なことに、税抜き価格の硬直性の度合は増税後に弱まった。本研究は、2018年度中に多くの口頭発表の機会に恵まれ、SWETやマクロコンファレンスで有益なコメントを受けた。
第3に、世代間で直面する物価がどの程度異なるかを検証する実証研究に取り組んだ。Aguiar and Hurst (2007)は、すでに退職した高齢者の方が若者よりも安い価格で財を購入できると主張している。しかし、彼らの計算した家計別物価指数は、標準的な指数理論に照らして問題を抱えている。そこで、本研究ではウェイト・選好・財の集合という3つの観点から望ましい個人別物価指数を計算した。その結果、退職年齢付近の世代が若年世代よりも低いインフレ率に直面していること、80代以上の高齢者が購買頻度を減らし、それによって高いインフレ率に直面していることを発見した。