2019年6月 - 2024年3月
神経障害性疼痛に直結する神経回路動作異常メカニズムの解明と創薬への応用
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
前年度の研究から,ニューロペプチドYプロモーター制御神経サブセット(AAV-NpyP+神経)の活動低下がモルヒネ抵抗性Aβ線維由来アロディニアの発症に中核的役割を果たすことを明らかにしたため(PNAS 2021),本年度は,その活動低下メカニズムの解明に向けた研究に着手した。活性化したアストロサイトをドミナントネガティブSTAT3の発現により抑制することで,AAV-NpyP+神経の静止膜電位の低下が正常化することを明らかにした。
さらに本年度は,AAV-NpyP+神経とダイノルフィンプロモーター制御神経サブセット(AAV-PdynP+神経)との相互作用について,ジフテリア毒素による特異的細胞除去法やパッチクランプ法にて解析した。AAV-NpyP+神経除去ラットが発症するAβ線維由来アロディニアは,AAV-PdynP+神経の除去により抑制された。しかし,パッチクランプや神経トレーシング実験により,これら二つのサブセットは直接的には連結していないことが示唆された。
脳から脊髄後角へのトップダウンシグナルについては,マウス全脳イメージング解析から特定できた候補脳部位の中で,痛覚変調に大きなインパクトを示す部位の特定を試み,一次体性感覚野を含む複数の脳部位を特定することができた。
さらに本年度は,ミクログリアの細胞貪食解析に関連して,脊髄後角のミクログリアの一部がミエリンの細胞貪食を介してCD11c陽性サブセットに変化し,疼痛行動を抑制性に調節するという驚くべき結果を得た(Science 2022)。その疼痛抑制因子としてインスリン様成長因子1を特定した。
さらに本年度は,AAV-NpyP+神経とダイノルフィンプロモーター制御神経サブセット(AAV-PdynP+神経)との相互作用について,ジフテリア毒素による特異的細胞除去法やパッチクランプ法にて解析した。AAV-NpyP+神経除去ラットが発症するAβ線維由来アロディニアは,AAV-PdynP+神経の除去により抑制された。しかし,パッチクランプや神経トレーシング実験により,これら二つのサブセットは直接的には連結していないことが示唆された。
脳から脊髄後角へのトップダウンシグナルについては,マウス全脳イメージング解析から特定できた候補脳部位の中で,痛覚変調に大きなインパクトを示す部位の特定を試み,一次体性感覚野を含む複数の脳部位を特定することができた。
さらに本年度は,ミクログリアの細胞貪食解析に関連して,脊髄後角のミクログリアの一部がミエリンの細胞貪食を介してCD11c陽性サブセットに変化し,疼痛行動を抑制性に調節するという驚くべき結果を得た(Science 2022)。その疼痛抑制因子としてインスリン様成長因子1を特定した。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H05658
- 体系的課題番号 : JP19H05658