共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

胚盤胞補完法を用いた異種生殖細胞の発生学的解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H02367
体系的課題番号
JP18H02367
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

胚性幹細胞・人工多能性幹細胞が始原生殖細胞 (PGC: Primordial Germ Cells) から精子または卵子にどのような経過をたどって分化・発生していくかを詳細に解析するため、本年度は多能性細胞およびPGCに特異的な発現を示し、かつ重要な機能を持つことが知られている Prdm14遺伝子をターゲットに定め、ラット当該遺伝子の開始コドンから第4エクソンまでをCRISPR/Cas9システムにより欠失させたノックアウトラット (Prdm14/KO)、および同領域をH2BVenusに置換したノックインラット (Prdm14-H2BVenus) という2種類の遺伝子改変ラットを作製した。Prdm14/KOラットの胎生15.5日齢、出生1日齢、4週齢、および8週齢における生殖隆起・性腺を目視あるいは免疫組織染色によって観察したところ、胎生15.5日齢KO個体の生殖隆起には生殖細胞特異的に発現するVasa陽性の細胞は認められなかったが、野生型ではVasa陽性の生殖細胞の存在が確認できた。一方、生後1日齢では雌雄KO個体の卵巣・精巣ともに正常に見えたが、4週齢以上では卵巣の消失ならびに精巣の萎縮が認められた。萎縮精巣を免疫組織染色したところ、ライディッヒ細胞とセルトリ細胞のいずれも観察されたが、Vasa陽性の生殖細胞はまったく認められなかった。また、Prdm14-H2BVenusラットの着床後の胚におけるVenus の発現パターンは、PGCマーカーであるTfap2c遺伝子の発現パターンと一致していた。以上、Prdm14/KOラットは生殖細胞のみを欠損するという特徴を有し、Prdm14-H2BVenusラットはVenusの発現を指標にすることで PGCの動向を追跡することが可能で、ラットにおける生殖細胞の出現時期、あるいはその後の発生過程を明らかにできた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H02367
ID情報
  • 課題番号 : 18H02367
  • 体系的課題番号 : JP18H02367