2021年3月
救急看護師による自殺未遂患者の精神的側面への関わり 組織に焦点を当てて
横浜看護学雑誌
- ,
- 巻
- 14
- 号
- 1
- 開始ページ
- 44
- 終了ページ
- 51
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (公大)横浜市立大学医学部看護学科
本研究は救急看護師による自殺未遂患者の精神的側面への関わりの現状と、それに影響を与えうる救急外来という組織・集団の特性や傾向について考察し自殺未遂患者への看護の質の向上についての示唆を得ることを目的とした。三次救急医療施設3施設の救急看護師6名に対しインタビュー調査を行い、精神的側面への関わり、組織、集団という視点で質的帰納的分析をした結果、26サブカテゴリーが抽出され、【心理的に距離を取ろうという思い】【精神的側面への関わりの困難さ】【精神的側面への関わりができない状況】【精神的側面への関わりは「自分たちの仕事ではない」という認識】【精神的側面への関わりの成果の不明確さ】【自殺の再企図防止へのリスク管理】の6カテゴリーに集約された。結論として以下の示唆を得た。(1)精神的側面への関わりは積極的に取り組まれているとは言えない現状が示唆され、「感情の伝染」と「集団力動による圧力」という組織・集団の性質が関連している可能性がある。(2)「(精神的側面への関わりは)自分たちの仕事ではない」という組織規範の存在が示唆された。(3)救急看護師は自殺再企図防止を組織内で実践していることが示唆され、それには組織文化が影響している可能性がある。(4)自殺未遂患者への関わりのロールモデルとなる人材を組織の内部から育成する、または病院内他部署の人材を活用することにより自殺未遂患者への看護の質を向上させる可能性がある。(著者抄録)
- ID情報
-
- ISSN : 1882-8892
- eISSN : 2189-4892
- 医中誌Web ID : 2021302713