共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

福島第一原発事故後に形成された歯における内部被ばく量推定法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K10458
体系的課題番号
JP19K10458
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

2011年3月に福島第一原発事故が起こったが、半減期が長い放射性核種においては、その生体への影響を検討することは極めて重要である。本研究は生物試料からイメージングプレートへの放射線の露光程度を示すQL値について、核種ごとの貢献を明らかにする方法を開発することを目的としている。イメージングプレートは放射線に反応するという特性から、放射線を発生させた核種については判定できない。しかしながら、福島第一原発事故後の環境で主に問題となる核種はセシウム137とストロンチウム90の二つであるので、これらの核種における崩壊時の最大エネルギーの違いを利用し、適切に遮蔽を行うことでQL値への貢献を明らかにしようとするものである。本年度はセシウム137の発する主なベータ線を遮蔽し、QL値がどのように減少するのかについて検討を行った。セシウム137が発するベータ線のうち94.4%は最大エネルギー0.514MeVで、5.6%は最大エネルギー1.176MeVである。このうち最大エネルギー0.514MeVのベータ線を0.6mm厚のアルミニウム板で遮蔽し、遮蔽がない場合との比較を行った。その結果、補正に用いる塩化カリウムのスタンダードにおいて、遮蔽がないものは20mBq/gから1000mBq/gの範囲でQL値と場くれる濃度には超苦戦関係を認めたが、遮蔽を行ったスタンダードにおいては高いベクレル領域(500mBq/から1000mBq/gの範囲)でのみ直線関係を認めた。減少率はステップの成分である塩化カリウムでは80%程度、生体試料においては90%以上であり、検討した部位で減少率には変動を認めた。また、アルミニウム板に合致した領域でバックグラウンドの上昇を認めた。これらの結果は遮蔽による有用性は認められたが、一方で遮蔽方法については改良する必要性を認め、次年度以降の重要な課題となった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K10458
ID情報
  • 課題番号 : 19K10458
  • 体系的課題番号 : JP19K10458