2019年4月 - 2022年3月
年縞から探る温室期の急激な気候変化:温暖化による気候モードジャンプの可能性
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
本研究では,年縞を保存する湖成層であるモンゴルの白亜系シネフダグ層を対象として,白亜紀「温室期」の気候変動を数年~数十年の時間スケールで詳細に復元し,極端な温暖化が進行した後の気候安定性を考察することを目的とする。代表者らのこれまでの研究により,現在よりもCO2濃度が高く,極域氷床の存在しない白亜紀「温室期」にも,「氷期」に類似した千年スケールの急激な気候変化が起こっていたことが明らかになった。そこで本研究では,モンゴルの年縞湖成層(シネフダグ層)を対象に,以下5つの研究手法を行うことにより,白亜紀「温室期」の急激な気候変化の実態解明を試みている。①μXRFコアスキャナー(ITRAX)を用いた無機元素組成変動の解析,②蛍光顕微鏡による夏季藻類生産量の復元,③微小カルサイト層の微量酸素同位体比測定による湖水質変動の復元,④古細菌バイオマーカーに基づく古水温指標(TEX86)の解析,⑤無機元素組成・粘土鉱物組成の因子解析による気温と降水量因子の解析。
本年度はまず①と②の研究を進め,約30万年区間に対して約5年の解像度で主要・微量元素組成分析を行い,十年~千年スケールの古環境変動を詳細に復元した。また③の手法構築を分担者の石村と共同で開始し,微小カルサイトの酸素・炭素同位体比から,年スケールの湖生物生産量や蒸発量/降水量の変動を復元可能であることが明らかになった。一方,④の古細菌バイオマーカーに基づく古水温指標(TEX86)の解析は困難であることがわかった。
本研究の成果の一部は,国際誌論文2編と国内誌論文1編として公表した他,国際誌論文1編を投稿中である。また国内学会で8件の,国際学会で2件の発表を行った。また研究対象のモンゴル白亜系湖成層に関する論文(Hasegawa et al., 2018, Island Arc)が日本地質学会2019年論文賞を受賞した。
本年度はまず①と②の研究を進め,約30万年区間に対して約5年の解像度で主要・微量元素組成分析を行い,十年~千年スケールの古環境変動を詳細に復元した。また③の手法構築を分担者の石村と共同で開始し,微小カルサイトの酸素・炭素同位体比から,年スケールの湖生物生産量や蒸発量/降水量の変動を復元可能であることが明らかになった。一方,④の古細菌バイオマーカーに基づく古水温指標(TEX86)の解析は困難であることがわかった。
本研究の成果の一部は,国際誌論文2編と国内誌論文1編として公表した他,国際誌論文1編を投稿中である。また国内学会で8件の,国際学会で2件の発表を行った。また研究対象のモンゴル白亜系湖成層に関する論文(Hasegawa et al., 2018, Island Arc)が日本地質学会2019年論文賞を受賞した。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H04256
- 体系的課題番号 : JP19H04256