2019年
3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン及びその類似化学構造を有する産業化学物質のDNA損傷性に関する研究 -γH2AXを指標に評価したDNA損傷強度の違い-
労働安全衛生研究
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- 巻
- 12
- 号
- 2
- 開始ページ
- 113
- 終了ページ
- 118
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.2486/josh.josh-2019-0008-ta
- 出版者・発行元
- (独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所
MOCA(またはMBOCA)と呼ばれる3,3'-シ-クロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタンは、ウレタン樹脂の硬化剤として利用されているが、職業性膀胱がん引き起こす可能性がある物質としても知られている。DNA損傷の生成は発がんにおける重要なファーストステップであり、MOCAがDNA損傷性を有することはこれまでの遺伝毒性試験の結果より明らかである。一方で、MOCAがDNA損傷の中でも最も重篤な損傷であり発がんと密接な関係があるDNA二本鎖切断を生成するか否かについては未だ不明である。また、MOCAの構造類似化合物であり、MOCAと同用途で使用されている4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジフェニルメタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルメタンについて、そのDNA損傷誘導強度を同一試験系で比較検討している研究は存在しない。本研究では、MOCA及びその構造類似化合物3種の有害性をより的確に把握することを目的に、DNA二本鎖切断の生成指標として近年注目されているリン酸化ヒストンH2AX(γH2AX)に着目し、MOCAのDNA二本鎖切断生成の可能性を検討すると共に、MOCA及びその構造類似化合物についてDNA損傷強度の比較を実施した。被験物質4種全てで、γH2AX誘導が認められたが、中でもMOCA及び4,4'-ジヒドロキシジフェニルメタンが特に強いγH2AX誘導が観察された。本研究は、γH2AXを指標にMOCA及び構造類似化合物がDNA二本鎖切断を生成する可能性を示唆するとともに、その損傷誘導強度の違いを明らかにしたものである。本研究の知見は、化学物質のリスク評価に重要な情報を提供すると考えられる。(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.2486/josh.josh-2019-0008-ta
- ISSN : 1882-6822
- eISSN : 1883-678X
- 医中誌Web ID : 2019384069
- J-Global ID : 201902247334808694