論文

2017年

兵庫県千種川流域を対象にした降雨流出・洪水氾濫統合型解析

水文・水資源学会研究発表会要旨集
  • 山本 浩大
  • ,
  • 佐山 敬洋
  • ,
  • 近者 敦彦
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  • 中村 要介
  • ,
  • 寶 馨

30
開始ページ
81
終了ページ
81
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.11520/jshwr.30.0_81
出版者・発行元
水文・水資源学会

近年、局所的な豪雨の影響により、計画規模に匹敵する、または、それを上回る洪水が発生し、都道府県が管理する中小河川では深刻な洪水被害が頻繁に生じている。中小河川災害の一つとして、2009年8月の台風9号による洪水災害が挙げられる。本災害では、千種川水系の上流部の中小河川で溢水・越水が発生し、特に佐用川流域では、山地からの流出や支川の氾濫が複合的に発生し、各地で深刻な被害が生じた。地球温暖化に伴うゲリラ豪雨の発生等に対して、治水整備のみで安全を実現するのは容易ではなく、洪水予測システムの情報に基づき、避難体制を構築することが重要である。洪水予測モデルとして、最近では分布型モデルも実務で使用されているが、それらのモデルは、雨量から流出量を予測し、流出流を河川水位に換算するものであり、氾濫を予測するものではない。また、洪水氾濫の影響が河川流量に大きく影響している場合は、従来の方法では、氾濫後の河川流量の再現性には問題があった。一方で、既存の氾濫モデルは、破堤地点上流の河川流量や水位を境界条件とし、特定の堤内地をにおける詳細な氾濫解析に適するものが多い。千種川のような中山間地域を含む流域では、河川沿いの氾濫が複数箇所で発生するため、降雨情報から各地で起きる浸水域を予測するには、流域全体で降雨流出過程と氾濫過程を一体的で解くモデルが望ましい。本研究で用いる降雨流出氾濫モデル(Rainfall-Runoff-Inundation model)は、流域全体で降雨流出から氾濫計算まで一体的に解析するものであり、溢水・越流などの氾濫を伴う洪水を解析するのにふさわしいと考えられる。既往の適用研究はアジアを中心とした低平地を含む流域が多く、モデルの評価に用いる水文データが不十分であったため、限られた観測点を対象に適用性を検証してきた。本研究は、水系全体で詳細な河道断面の情報を反映し、多地点の観測流量・水位情報を用いてモデルの適用性を詳細に検証した。その結果、モデルは浸水深の動向だけでなく、任意の断面で水位や流量が再現できることがわかった。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11520/jshwr.30.0_81
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130006236371
ID情報
  • DOI : 10.11520/jshwr.30.0_81
  • CiNii Articles ID : 130006236371

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