2021年4月 - 2024年3月
一残基置換による高温でのRO形成の阻害を応用したアミロイド抑制法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
令和3年度は1種類の小型球状蛋白質(PSD95-PDZ3)において、一残基置換による変異体設計(8種類)が完了し、DSC装置を用いた熱測定、ThT・ANS蛍光を用いた分光学的測定、電子顕微鏡による観察など様々な物性測定を実施した。その結果、2種類の変異体(F340AおよびL342A)で高温でのRO形成を阻害でき、さらにアミロイド線維も効果的に抑制することができた。したがってPDZ3において高温でのRO形成はアミロイド線維の前駆体である可能性が示唆され、たった一残基のアミノ酸を置換するだけで熱凝集の傾向性を大幅に低下させることができた。この研究成果は、国内学会発表2件、査読付き英語論文1報で発表済みである。
さらに同じ小型球状蛋白質を用いて、これまでとは逆に親水性アミノ酸を疎水性アミノ酸へと一残基置換することで、リバースエンジニアリングによる変異体(3種類)を設計した。その結果、1種類の変異体で高温でのRO形成が人工的に促進され、アミロイド線維も有意に成長していると分かった。これらの結果は、高温でのRO形成にはオリゴマー接触面に存在する疎水性残基が重要であるという仮説を裏付けるものであり、形成メカニズムに関する新たな手掛かりが得られた。この研究成果は、国内学会発表1件で発表済みであり、現在は英語論文として海外の査読付き雑誌に投稿中である。
また上記の一残基置換による変異体では、基本的に高温でのRO形成のみを制御しており、天然状態での二次構造・熱安定性・会合状態など他の物性には殆ど影響していない。ゆえに蛋白質の熱凝集傾向性のみを低下できる分子設計法の開発に大きく役立つと期待される。
さらに同じ小型球状蛋白質を用いて、これまでとは逆に親水性アミノ酸を疎水性アミノ酸へと一残基置換することで、リバースエンジニアリングによる変異体(3種類)を設計した。その結果、1種類の変異体で高温でのRO形成が人工的に促進され、アミロイド線維も有意に成長していると分かった。これらの結果は、高温でのRO形成にはオリゴマー接触面に存在する疎水性残基が重要であるという仮説を裏付けるものであり、形成メカニズムに関する新たな手掛かりが得られた。この研究成果は、国内学会発表1件で発表済みであり、現在は英語論文として海外の査読付き雑誌に投稿中である。
また上記の一残基置換による変異体では、基本的に高温でのRO形成のみを制御しており、天然状態での二次構造・熱安定性・会合状態など他の物性には殆ど影響していない。ゆえに蛋白質の熱凝集傾向性のみを低下できる分子設計法の開発に大きく役立つと期待される。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K15049
- 体系的課題番号 : JP21K15049
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
2-
熱測定 50(3) 103-109 2023年7月 査読有り筆頭著者責任著者
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The FEBS Journal 289(11) 3205-3216 2022年6月 査読有り筆頭著者
講演・口頭発表等
8-
26th International Conference on Chemical Thermodynamics (ICCT-2023) 2023年7月31日
-
第60回 日本生物物理学会年会(函館) 2022年9月28日
-
第62回 新潟生化学懇話会 2022年7月16日 招待有り
-
第44回 日本分子生物学会年会 2021年12月1日
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第59回日本生物物理学会年会 2021年11月27日
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第 57 回熱測定討論会 2021年10月28日