2018年4月 - 2021年3月
除鉄による幹細胞性喪失のメカニズムの解明と癌幹細胞治療への新展開
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
1)幹細胞性維持に関わる未知の鉄代謝経路の解明
幹細胞性マーカー(Nanog等)を発現している食道癌細胞株TE-8を用いて、鉄キレート剤(DFX, DFO, SP-10)を投与すると、これまで確認したHSC-2細胞、OE33細胞と同様に幹細胞マーカーの発現が抑制される事を確認した。次に食道癌の既存の標準治療薬であるCDDPを対照薬としてマイクロアレイを行い、鉄キレート剤と幹細胞性に関係するシグナルについて検討を行った。その結果、IL-6の発現がCDDPと鉄キレート剤で大きく誘導性が異なる事を見い出し、PCRおよびELISAで、CDDPは食道癌細胞株(TE-8、OE33)に対してDFXと比較してTE8は100倍、OE33は20倍以上誘導する事が判明した。しかし、IL-6の自己分泌のみによる幹細胞性の保持は確認できず、IL-6は癌微小環境維持の主なサイトカインのひとつであるため、癌微小環境を介した幹細胞性維持機構を低下させている可能性が示唆された。
<BR>
2)新しい着想に基づく癌幹細胞治療法の新機軸への挑戦
幹細胞マーカーNanogが本当に臨床手的に予後不良因子であるか明らかにするために食道癌の134例の切除検体を用いてNanogの免疫染色を行い、予後との相関について検討を行った。既報に習いスコアリングを行うと、Nanogの高発現群は98例、低発現群は36例であった。全生存期間、無病生存期間共にNanog高発現は有意に悪く、予後不良因子である事が明らかになった。鉄キレート剤はNanogの発現を強く抑制できるため、食道癌の予後を改善できる可能性が示唆された。
幹細胞性マーカー(Nanog等)を発現している食道癌細胞株TE-8を用いて、鉄キレート剤(DFX, DFO, SP-10)を投与すると、これまで確認したHSC-2細胞、OE33細胞と同様に幹細胞マーカーの発現が抑制される事を確認した。次に食道癌の既存の標準治療薬であるCDDPを対照薬としてマイクロアレイを行い、鉄キレート剤と幹細胞性に関係するシグナルについて検討を行った。その結果、IL-6の発現がCDDPと鉄キレート剤で大きく誘導性が異なる事を見い出し、PCRおよびELISAで、CDDPは食道癌細胞株(TE-8、OE33)に対してDFXと比較してTE8は100倍、OE33は20倍以上誘導する事が判明した。しかし、IL-6の自己分泌のみによる幹細胞性の保持は確認できず、IL-6は癌微小環境維持の主なサイトカインのひとつであるため、癌微小環境を介した幹細胞性維持機構を低下させている可能性が示唆された。
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2)新しい着想に基づく癌幹細胞治療法の新機軸への挑戦
幹細胞マーカーNanogが本当に臨床手的に予後不良因子であるか明らかにするために食道癌の134例の切除検体を用いてNanogの免疫染色を行い、予後との相関について検討を行った。既報に習いスコアリングを行うと、Nanogの高発現群は98例、低発現群は36例であった。全生存期間、無病生存期間共にNanog高発現は有意に悪く、予後不良因子である事が明らかになった。鉄キレート剤はNanogの発現を強く抑制できるため、食道癌の予後を改善できる可能性が示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K08539
- 体系的課題番号 : JP18K08539
この研究課題の成果一覧
絞り込み
受賞
1-
2023年5月
論文
5-
Cancers 15(2) 468 2023年1月12日 査読有り責任著者
-
International journal of cancer 149(2) 347-357 2021年3月4日 査読有り責任著者
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Acta medica Okayama 74(1) 1-6 2020年2月 査読有り責任著者
-
Cancers 11(2) 177 2019年2月3日 査読有り責任著者
-
Oncotarget 9(67) 32751-32760 2018年8月28日 査読有り筆頭著者責任著者
MISC
1-
肝胆膵 84(4) 509-521 2022年4月 招待有り
メディア報道
3-
日本経済新聞 朝刊 11面 2018年3月 新聞・雑誌
-
NHK岡山放送局 ニュース 2017年12月 テレビ・ラジオ番組
-
読売新聞 朝刊 37面 2015年10月 新聞・雑誌