共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2024年3月

植物の遺伝的多様性から気候変動に適応するためのメカニズムを理解する

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H03092
体系的課題番号
JP19H03092
配分額
(総額)
17,550,000円
(直接経費)
13,500,000円
(間接経費)
4,050,000円

植物が同じ種内でもストレス耐性を持つ植物と持たない植物に分かれてきた進化的要因や、その背景でどんな遺伝子が働いているのかに関しては多くが不明である。本研究では、シロイヌナズナaccession間に見られる浸透圧耐性および高温耐性の遺伝的多様性から植物のストレス適応メカニズムを理解することを目的に、多様性を決定する鍵遺伝子の同定、および鍵遺伝子を中心とする耐性メカニズムの解明を目指している。先行研究において、短期高温ストレスを示す accessionが必ずしも長期高温ストレス耐性を示さず、それぞれの耐性は独立したメカニズムによることが示唆された。本年度は長期的な高温ストレスに曝した際の多様性に関する研究で特に成果が得られた。高い長期高温耐性を示すaccessionがどのようなメカニズムにより耐性を獲得しているのかを明らかとするために、実験accessionとして広く用いられるCol-0に対して、顕著な長期高温耐性を示すBs-2およびBs-2近縁のaccessionを用いて、シロイヌナズナにおける長期高温耐性メカニズムの解明を試みた。様々な生理学的試験の結果、短期高温ストレス下ではH2O2の蓄積増加は認められないものの、長期高温ストレス下では経時的にH2O2が蓄積したことから、長期高温ストレス時にROS消去が重要であることが示唆された。またBs-2はCol-0と比較して酸化ストレスに耐性を示すことが明らかとなった。ROS消去に関わる抗酸化酵素をコードする遺伝子のうち、どの遺伝子が長期あるいは短期高温耐性に寄与するのかを調べるために、Col-0のT-DNA挿入変異株を長期・短期高温耐性試験に供した。その結果、ある1つの遺伝子が長期高温ストレス耐性に重要であることが明らかとなった。本成果について現在、論文投稿中である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H03092
ID情報
  • 課題番号 : 19H03092
  • 体系的課題番号 : JP19H03092