共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

ミクログリアを介したヒト臍帯血移植による脳性麻痺治療のメカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K08280
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

脳性麻痺に対する新規治療法として本学医学部附属病院で実施されている自家臍帯血移植治療の治癒メカニズムを明らかにするため、新生仔脳虚血再灌流障害モデルを改良した独自の脳性麻痺モデルを開発し解析を行ってきた。生後9日齢の免疫不全マウスを用いてモデルマウスを作製し、3週間後にヒト臍帯血単核細胞を静脈投与すると、内在性の神経幹細胞が賦活化し、分化した神経前駆細胞は増殖しながら損傷部位に誘導されることが明らかとなった。また、組織学的な解析から、臍帯血細胞投与により脳障害側でのミクログリアの増加が観察された。そこで、脳損傷の改善における脳内ミクログリアの役割を明らかにすることにした。
まず、脳損傷から1週間と3週間後、および臍帯血細胞投与24時間後のマウス脳組織を採取した。モデル作製では、脳の右側のみを損傷させているため、採取した脳組織は障害側と正常側とに分けた。その後、酵素処理により細胞を分散させ、フローサイトメトリーを用いてミクログリアの割合を調べた。ミクログリアマーカーとしてCD11bを用いた解析では、モデル作製1週間後に増加し、3週間後には低下した。しかし、臍帯血投与24時間後、障害側でのみ、その割合は再び増加した。さらに、ミクログリアの中でも神経保護に作用すると考えられているM2型ミクログリア(CD11bとCD206陽性)の割合についても調べた。その結果、同様に脳損傷1週間後に一過的に増加したが、その後低下し、臍帯血細胞投与により、障害側で再び増加が認められた。これらの結果から、脳損傷の改善にミクログリアが関与していると考えられる。

ID情報
  • 課題番号 : 19K08280