2017年4月 - 2020年3月
チョウ目幼虫の耳の進化:捕食回避のための機械感覚子は生活様式に規定されるか?
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
ガの幼虫は、体表に点在する糸状感覚子(機械感覚子の1種)で音を検知することができる。この感覚子は気流等も検知する。この糸状感覚子は胸部に存在するが、チョウ目において糸状感覚子の数や位置が多様であると考えられる。本研究では、チョウ目を網羅する分類群における糸状感覚子の形態観察、行動実験による機能解明、そして糸状感覚子に関する系統・進化解析をおこなうことで、寄主植物における生活様式の変化によって、感覚子が発達や退化をおこしていることを検証する。当年度までにガ類及びチョウ類の幼虫を日本各地で採集し、糸状感覚子の同定並びに比較をおこなった。日本産35上科中、28上科200種以上(ガ類:26上科38科159種、チョウ類:2上科5科43種)を観察した結果、糸状感覚子を1)胸部にのみを持つ種(6上科)、2)腹部にのみ持つ種(2上科)、3)腹部と胸部の両方に持つ種(5上科)、そして4)糸状感覚子を欠く種(15上科)がみられた。チョウ目の約98%の種を含む二門類では糸状感覚子を持つ種が多く多様性に富んでいたが、二門類以外(より原始的な分類群)では糸状感覚子を欠く種が多い傾向があった。ただし、二門類においても葉などのシェルターに隠れて生活する内部食の種で糸状感覚子を欠く傾向があった。チョウ目幼虫において、内部食から植物体外に出て摂食する外部食へと進化してきたとされている。その過程で糸状感覚子を発達させ、天敵に対する防衛を進化させてきた可能性が高い。
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- 課題番号 : 17K08158
- 体系的課題番号 : JP17K08158
この研究課題の成果一覧
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論文
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Ecology 101(10) e03112 2020年7月23日 査読有り筆頭著者責任著者
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Biological Journal of the Linnean Society 123(3) 496-505 2018年3月 査読有り筆頭著者責任著者
MISC
1-
Bulletin of the Ecological Society of America 101(4) e01754 2020年10月 招待有り筆頭著者責任著者
メディア報道
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Новости 2018年2月28日
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НОВОСТИ 2018年2月27日
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The News Lens 2018年2月27日
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Spektrum der Wissenschaft 2018年2月27日
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Wired 2018年2月26日
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Der Standard 2018年2月26日
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立場新聞 2018年2月26日
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Wyborcza 2018年2月24日
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Science 2018年2月23日
社会貢献活動
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