論文

査読有り
2017年5月

都市部における来日外国人と地域住民間の結核感染動態に関する分子疫学研究

結核
  • 村瀬良朗
  • ,
  • 大角晃弘
  • ,
  • 渡辺ゆう
  • ,
  • 神楽岡澄
  • ,
  • 石原恵子
  • ,
  • 誉田千晶
  • ,
  • 内村和弘
  • ,
  • 前田伸司
  • ,
  • 瀧井猛将
  • ,
  • 石川信克

92
5
開始ページ
431‐439
終了ページ
439
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本結核・非結核性抗酸菌症学会

[目的]外国人人口の多い国内の都市部において、外国人と地域住民間の結核感染動態を明らかにし、都市部における効果的な結核対策策定のための基礎資料を提供する。[方法]2002年9月〜2011年12月の期間に、東京都新宿区で新たに登録された培養陽性結核患者から分離された907株(外国人由来85株含む)を対象にIS6110-RFLP分析とスポリゴタイピングを実施し、これらの遺伝子型別と疫学情報に基づいて外国人と地域住民間の結核感染動態について検討した。菌株クラスターは、IS6110-RFLPバンド型が完全に一致する2人以上の患者から形成される集団とし、菌株クラスター形成率は、いずれかの菌株クラスターに所属する患者を母集団で除した割合とした。[結果]研究対象となった外国人85名は、結核罹患率の高い地域の出身者が主であった(韓国35名、中国17名、ミャンマー11名など)。外国人患者株の菌株クラスター形成率は、日本人のそれと比べて有意に低かった(16% vs.51%、P<0.001)。外国人が初発となって日本人に感染が拡がったことが推定されたのは2事例であった。また、外国人が来日後に、国内で感染を受けて発病したと推定されたのは12事例であった。ミャンマーおよび台湾出身者からは、日本での分離例が4.3%と少ないIndo-Oceanic型が、それぞれ64%(7/11)、80%(4/5)と高い割合で分離された。[結論]新宿区で発生した外国人結核患者の大半は、入国前の潜在性結核感染による再燃が原因であると考えられたが、中には来日後に国内で感染を受けて発病したと推定される事例(n=12)も存在していた。外国人から地域住民への感染が疑われた事例は2事例であり、限定的であった。(著者抄録)

リンク情報
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201702263027599915
URL
http://jglobal.jst.go.jp/public/201702263027599915
ID情報
  • ISSN : 0022-9776
  • eISSN : 1884-2410
  • 医中誌Web ID : 2017315019
  • J-Global ID : 201702263027599915

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