社会貢献活動

2020年5月13日

光合成により生じたデンプンの新たな機能を発見


役割
その他
種別
インターネット
主催者・責任者
京都大学プレスリリース
対象
大学生, 大学院生, 教育関係者, 研究者, 社会人・一般, 学術団体, 企業, 市民団体, 行政機関, メディア

豊川知華 生命科学研究科博士課程学生、山野隆志 同講師、福澤秀哉 同教授の研究グループは、光合成により生じたデンプンの新たな機能を発見しました。

植物は太陽光のエネルギーを利用して二酸化炭素(CO2)を固定し、炭水化物(ショ糖やデンプン)を蓄積します。水中に生息する多くの藻類では、CO2の固定酵素がピレノイドと呼ばれる構造に集積し、光合成によって生じたデンプンがその周囲を取り囲む「デンプン鞘」と呼ばれる構造をとることが知られています。ピレノイドは、約200年前に発見され、今ではCO2が欠乏する環境で光合成を維持するために必要とされていますが、貯蔵物質であるデンプンがピレノイドの周りに集まる意義については不明でした。

本研究グループは、モデル生物の緑藻クラミドモナスから、ピレノイドの周囲にデンプン鞘を形成できない変異株を調べました。そして、デンプン鞘が、ピレノイドから拡散して漏れ出るCO2の物理的な障壁となるだけでなく、漏れ出たCO2をリサイクルするタンパク質をデンプン鞘の周りに正しく配置するのに必要であり、デンプン鞘自身の構造が光合成の効率低下を防ぐ機能を持つことを発見しました。本研究は、貯蔵物質として教科書に記載されてきたデンプンの新しい機能的側面を明らかにした成果であるとともに、藻類のピレノイドを陸上植物に導入し、作物の生産性向上につなげようとする応用研究の礎となることが期待されます。

本研究成果は、2020年4月6日に、国際学術誌「Plant Physiology」のオンライン版に掲載されました。

リンク情報
共同研究・競争的資金等の研究課題
藻類の重炭酸イオン輸送におけるCa2+とCO2のクロストーク制御
共同研究・競争的資金等の研究課題
モデル緑藻クラミドモナスを用いた脂質蓄積制御に関わる遺伝子リソースの収集
URL
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2020/200406_2.html