2021年7月 - 2024年3月
新規な高次体性感覚野の開拓と機能同定
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
高等動物では、視覚や聴覚といった感覚は大脳皮質の一次感覚野に入力され、その後二次、三次とより高次の感覚野において階層的に処理されることはよく知られている。ところが、体性感覚については一次体性感覚野(S1)のすぐ外側に二次体性感覚野(S2)があるのみで、高次情報処理機構についての研究は遅れている。マウスS1から投射する軸索をマッピングすると、S2以外に軸索末端が集積する多くの小領域がある(Yamashita et al., Front. Neuroanat., 2018)。S1からこれら小領域にどのような体性感覚情報が伝播していくかは体系的な研究がなく、よく分かっていない。そこで本研究では、それらの各小領域を新規S2候補領野と捉え、これらの領野における体性感覚情報表現を網羅的に解析し、新規な高次体性感覚野の発見につなげることを目標としている。本年度は、S1の投射先であり、かつ、特に社会性行動への関与がある異顆粒帯に着目し、実験系を開発して記録を開始した。異顆粒帯はS1バレル野に隣接する幅数百マイクロメーターの狭い領域であるため、まずはイントリンジックイメージングにより記録前に異顆粒帯の位置を同定する手法を開発した。次に、頭部固定マウスの異顆粒帯からシリコンプローブ記録を行いながら、マウスに物体や他マウスを触診させる実験系を確立した。これまでに、ソーシャルタッチや他マウスの位置関係に相関を示す細胞が見出されており、S1よりも高次な情報処理があることが示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K19315
- 体系的課題番号 : JP21K19315