共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2021年3月

多価イオン状態の不安定核のための新しい寿命測定法の確立と宇宙元素合成過程への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
17H01123
体系的課題番号
JP17H01123
配分額
(総額)
44,200,000円
(直接経費)
34,000,000円
(間接経費)
10,200,000円

本研究の目的は、理研RIBFの蓄積リング(稀少RIリング)に以下に述べる大きな2つの改良を加え、多価イオン状態の不安定核の寿命を飛行中に測定できるようにすることである。
一つ目は、広帯域の共鳴ショットキーピックアップである。H30年度は小型で高感度な共鳴ショットキーピックアップのプロトタイプを設計製作した。真空チェンバー内にインストールできるよう、また、信号強度に効くシャントインピーダンスを最適化するよう設計した。オフライン試験の結果、従来のショットキーピックアップの10倍の信号強度が期待できる。併用することで、広範囲な周波数領域をカバーすることができる。さらにショットキーピックアップで粒子の周回周波数を探す際の補助検出器として、薄膜と2次電子を利用した飛行時間検出器を開発した。H30年度はプラスチックシンチレーターとMPPCの組み合わせだけではなく、高速な光電子増倍管H2431を用いて、時間分解能の向上を試みた。その結果、周期約400nsに対して0.6nsの精度で周波数測定できることがわかった。
二つ目は、蓄積リング内にファイバーシンチレーション検出器を設置することである。H30年度は2mのファイバーシンチレータを複数本利用した蓄積リング内の位置検出器を開発した。ビーム試験の結果、約1cmの位置分解能を得た。また、寿命測定ではセパレータ上流で単一粒子を選別する必要があるため、オンラインで電荷選別できる高速なエネルギー損失検出器を開発した。崩壊時間の速い無機シンチレーター(YAP(Ce), BaF2, CsI(Pure))の特性を調べた結果、CsI(Pure)について1.5%のエネルギー分解能を得た。実用になりそうである。また、チェレンコフ検出器の発光量もビームの電荷と相関があるため、屈折率の大きなTiO2をビーム試験し3%の分解能を得た。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H01123
ID情報
  • 課題番号 : 17H01123
  • 体系的課題番号 : JP17H01123