共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

新規キラルカルボン酸ライブラリーの創出を基盤とする不斉C-H活性化型反応の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

課題番号
17K15417
体系的課題番号
JP17K15417
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

昨年度までに見出していたビナフチル骨格を有するキラルカルボン酸とコバルト触媒を用いた、チオアミドを配向基とする不斉C(sp3)-Hアミド化反応について、触媒構造と反応条件を精密にチューニングすることにより高いエナンチオ選択性が発現することを見出した。これにより様々な構造を有するアミノカルボニル誘導体の不斉合成法を確立することができた。また類似のキラルカルボン酸誘導体とロジウム触媒を用いることで、より困難かつ合成的価値の高いメチレンC(sp3)-H結合の不斉アミド化反応が可能であることも見出した。さらにこのメチレン識別反応では、反応剤を変更することで不斉炭素-炭素結合形成反応にも成功している。以上の結果から、当初の想定通り、キラルビナフチルモノカルボン酸とロジウムまたはコバルト触媒の組み合わせが、汎用性の高い不斉C-H活性化触媒であることを実証できた。
一方で、カルボン酸をキラルプロトン源とする反応については様々な反応条件や基質、触媒構造を検討したがエナンチオ選択性の向上は困難であった。これについてはキラルCp配位子の導入など、より幅広い触媒の検討が必要であると考えられる。
さらに本年度はフェロセン骨格を有するキラルカルボン酸の設計と合成もおこなった。既存の不斉補助基を用いたジアステレオ選択的リチオ化、ハロゲン化、クロスカップリング反応を経由することで、高い光学純度でキラルフェロセンカルボン酸を得る合成ルートを考案し、種々の誘導体を合成した。これらをスクリーニングすることで、上記のキラルカルボン酸ではエナンチオ選択性の向上が困難であった基質について選択性の改善が可能であった。こちらについでも引き続き検討を続ける予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K15417
ID情報
  • 課題番号 : 17K15417
  • 体系的課題番号 : JP17K15417